2010年1月20日水曜日

伝えるということ

 自分の考えを人に伝えるのは難しい。
 研究会や学会で報告してみても,報告内容に内在した質問はあまりない。
 資料付きとはいえ,いきなり口頭発表を聴いたところで,理解できる範囲は限られていることもあろう。しかし,何よりも相互に関心が狭い,といういことがあるのではないか。
 関心と言っても社会科学だから,社会事象への関心が低いわけではない。当該テーマに関する関心が低い,言い換えると自分も含めて勉強不足だからであろう。いわゆるタコツボ化しているわけである。それがわかってくると,準備する報告資料も量を抑えることになる。

 講義も同じで,抽象的な経済原論はもちろんのこと,時事の解説部分では「新聞記事よりも深く」と思って仕組みを詳しく解説する,「データを用いて具体性,視認性を増す」ことを念頭にスライドに図表を盛り込む。
 しかし,その効果は怪しい。小テストをしてみれば,そこそこ理解できているように思えるものの,講義中に首を傾げる姿が目立つ。自分の学生時代の経験から講義に「中味がない」,テキストそのままでは良くないと,深く論じたつもりでもそれが学生にちゃんと伝わるかは怪しい。

 1月20日 早朝,車で大学に向かっていてふとそう思い,既に作成していた教養科目「市場経済」と宮城学院女子大「経済社会特論」の,残り2回分,「非正規雇用の実態」「格差問題」の講義プリントを整理圧縮してみた。それぞれ24枚のうち,内容が重複する部分(例示など)や細かな分を端折って18枚にした。なんと 25%カットだ。それでも2,3年前に比べると半減してる。
 さて,「教えしすぎるから学生は消化不良に陥る」「関心さえ喚べば,後は学生が調べる,質問してくるだろう」というレトリックが通じるのか否か。
 

0 件のコメント:

コメントを投稿