2019年4月21日日曜日

和やかないま                                                                       

  学会誌特集企画の続き。
 昨年9月委員会で最終提案し,10月に編集委員長より執筆者に依頼を出した。
 その締切りが今月上旬だった。
 つまり実質上の編集作業は委員任期終了後になる。

 いままさに寄稿された論文を読んで特集解説「特集にあたって」を執筆しなければならない。
 テーマ解説以外に,一つ一つの論文についても解説する必要がある。
 過去の例では論文解説は1篇につきだいたい千字程度だ。

 論文は届いた端から読んではいるが,テーマ解題も論文解説もまだフレーズくらいしか頭に浮かんでこない。
 執筆するまでには何度か論文を読み返す必要がありそうだ。

 重大任務だと思いながら,週末とあって球場に足を運んだ。



   前半は背に当たる日差しがキツかったが、風は和やか。
 南東北の令月はいまか?

特集企画

  3月まで学会誌編集委員を務めていた。
 編集員は,投稿論文について査読者2名を依頼し,その審査結果をまとめて委員会に最終審査結果を報告する,新刊の書評者を依頼する等の,3カ月に1回の業務の他に,任期中に一度だけ特集企画を担当する業務が割当たる。

 自分の担当は,今年7月20日刊行の56巻2号であり,昨年6月委員会で「多層化したこんにちの労働」というテーマを提案し,4名の方に執筆の打診をした。
 9月委員会で最終提案し,10月に編集委員長より執筆者に依頼を出した。

 もう半年も前になるが,企画書は以下の通りだ。
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◆テーマ:「多層化したこんにちの労働

 人口減少を迎えた日本では,経済成長の維持という観点から女性や高齢者の就労,労働生産性の向上を唱える声が大きい。こうした女性や高齢者への就労要請は,同時に,しばしば彼らが担う非正規雇用職の正社員との処遇格差問題,および働き方の多様性に関心を集めることにもなる。

政府の「働き方改革」でも,非正規雇用の正社員との格差是正を名目に同一労働同一賃金原則の適用が目指されると同時に,労働生産性の向上を目的に,プロフェッショナル制度の導入や(データ不正により今回は法案化が見送られた)裁量労働制の適用拡大が求められている。もちろん,こうした制度改正に対しては,客観的な職務評価を欠くという批判や長時間労働を助長するという懸念も根強い。しかし,同時に,その背後に,非正規雇用の数的増大とも相俟って,職場にはさまざまな形態の労働があり,一方で雇用形態は異なっても同じ仕事に就く同質的な労働があり,他方では同じ雇用形態でも権限と仕事の範囲が異なる異質な労働があるという認識が芽生えているのは確かであろう。

同一労働同一賃金原則の適用が話題にされる場面では,非正規雇用は正社員と同じ仕事に携わりながら,相対的に低い賃金しか与えられないなど,労働の同質性に焦点が当てられる反面として,同質性を超える部分が見落とされがちとなる。職場にあるさまざまな職務の間での労働の同質性の程度,範囲を知る必要がある。

労働の異質性は,職種間のヨコの違いばかりでなく,タテの違いもある。単純労働を超える労働には特別の訓練を要する複雑労働もありうるし,裁量性の高い労働もありうる。もちろん,それらの理論的把捉には,実際の職場におけるさまざま労働の職務の範囲や権限の広狭などについての実態分析が求められており,労働過程論,生産過程論に立脚した「労働の二重性」という視点からの考察も必それらの実態を踏まえる必要があろう。

以上は,タテにもヨコにも多様化した労働へのアプローチであるが,賃労働に限定した話である。賃労働を支え,また支えられる家庭内の諸活動も,労働の多層化に伴い変化せざるを得ない。例えば,世帯員による賃労働と家内労働の分担見直し,長時間労働と短時間労働の切り替え,あるいは家族によるサポートと外部サービスの切り替えないし分担等々である。市場における労働に限定せず,人間生活や共同体の維持という観点から人間活動と賃労働との重層的かつ広範に亘る結びつきやその変質についての考察が求められる。

以下,一つ一つのテーマと論文依頼者紹介は省略するが,
・職務分析による職務評価(職務評価からみた同一労働)
・裁量労働の理論的位置づけ
・熟練労働
・賃金労働と再生産労働
という4つのテーマで4名の方に論文執筆を依頼した。

添書き

 先週ようやく時間が取れ,抜刷を送る際の添書きと袋詰め作業を行なった。
 以下はその時の添書き
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 半田正樹東北学院大学名誉教授の退職記念号(東北学院大学『経済学論集』191,ご退職は昨春)に寄せた論稿「企業内養成熟練と勤続昇給」をお届けします。

 勤続昇給の有無は,正規雇用,非正規雇用間の賃金格差を齎している要因の1つですが,その勤続昇給をもたらす労働の理論的位置付けを試みた論文です。

この論文では,
 生産的労働・不生産的労働概念と価値形成労働・価値非形成労働概念との区別により多様化ないし多層化する労働の理論的位置付けを試みた私の研究の延長線上で,価値非形成労働の具体的内容を検討し,複雑労働に求めています(第1節)。

 また「特別の訓練を要する」複雑労働に関わる議論から型づけ労働と調整労働を取り出し,入職前に訓練を要する一般的熟練と,入職後の経験や訓練によって培われる企業特殊熟練との違いを見出し,勤続昇給する労働を後者に求めています(第2節)。

 さらに,「技能養成を誘発する」賃金制度に関する議論を検討して賃金の等級制度を抽き出し,具体的な等級制度の設計にも触れています(第3節)。


 位相の異なる論点を組み込んだのため,読みにくいかと存じますが,
ご笑覧頂ければ幸いです。

 2019年4月

2019年4月15日月曜日

カムバック

 タイガー・ウッズではないがカムバックする。

 といっては大げさ。
 先月末,研究会と研究合宿とハシゴして,そのまま月初めから新学期の行事が続いた。
 さらに合間に年休を取って駆けつけた東北楽天イーグルスの地元開催し合いで風邪を引いて週末寝込んでしまった。
 治ったと思って授業準備にしていたら風邪がぶり返した。
 というツマラナイ日々を送っていたのだ。