2016年12月31日土曜日

期限につき

 例によって,教職員親交会配付の映画チケット,期限当日になって利用。
 12月31日 昼前,ドトールコーヒーからフォーラムへ直行。クロアチア映画『灼熱

近くのガストで昼食後,ノート。
2枚目のチケットで,日本統治下の台湾で生まれ育ち戦後帰国した日本人の望郷ドキュメンタリー『湾生回家』17時から。

図らずも2作とも戦争が絡んでいた。
ただ片方は戦争で引き裂かれたものは容易に埋めることができないが,
他方は,引き裂かれてもなお否定できず望郷の思いは残っていた。
良い思い出に越したことはないが,
傷の癒えない思い出こそ惨事を繰り返さないために伝え継ぐべきであろう。


御用納め

 半月更新が滞った。
12月23日-25日の三連休も自宅,ドトールコーヒー,ジムの三角運動で成果も乏しかった,ということだ。
それでも28日の御用納めを無事迎えることができた。

12月20日 大学院ゼミ。

12月28日中庭
12月21日 教授会,続いて教職員親交会主催の忘年会。

12月22日 宮城学院女子大学「経済社会特論」は生活保護。レスポンスカードを読むと,水際作戦や捕捉率の低さへの憤りを示すものもある一方,不正受給は額としては全体の0.5%以下とはいえ「173億円はすごく多すぎる気がする」と率直な感想を述べるものもあった。社会保障の自然増は1年で数億円に上るということは高騰で紹介しているが,プリントに記されている200億円弱という具体的数字には見過ごしにできない,ということになるのであろう。東北学院大学「政治経済学」は給付と訓練と題して,米TANF,独ハルツ改革,日本の求職者支援制度など,いわゆるワークフェアの流れを紹介。

12月26日 夕刻より学長とのワークライフバランス懇談会。テーマは介護。母親は高齢だが,まだ要支援1段階なので,仕事の調整が必要なわけではなく,経験者の話が参考になった,

12月27日 東北学院大学は木曜日授業の日。「政治経済学」は所得補償と題して,負の所得税,給付型税額控除EITC,ベーシック・インカムを紹介。

12月28日 御用納めも雪かきご苦労様です。
12月28日正門から

2016年12月19日月曜日

脇に置いて

 12月14日 山形中央高校で出前講義「年金の話」。
 年金をめぐるさまざまな問題を仕組み,制度に則して解説。要は,年金の理念・制度と,その後の社会の変化,女性の社会進出,就業者における自営業の比率低下と雇用者の増加,雇用者における非正規雇用の増大とがミスマッチを起こしている,その社会の変化を見て貰いたかったわけだが,その前の仕組みの解説が長く,さすがに高校1年生には迂遠な話に聞こえたかも知れない。
 しかし,大学の授業でも毎回行なっている択一式の確認問題は,選択肢一つ一つについてほぼ全員を指名し正誤を答えてみて貰ったところ,正解率が高かった。
 仕組みだけでも伝わった,ということであろう。

 12月15日 宮城学院女子大学「経済社会特論」は雇用保険,東北学院大学「政治経済学」は生活保護。 

 12月16日 「 基盤教育 」教養セミナーは格差対策の後半。レポーターの立てた議題は,1つはテキストで逆進性が高いと記されていた国民年金の負担問題,保険料負担,税負担どちらを増やすべきか否か。もう1つは日本はアメリカ型の小さい政府を目指すべきか,ヨーロッパ型の大きい政府を目指すべきか。意外に大きな政府支持が多かった。「意外に」というのは,普段,機会の平等と結果の平等では後者よりも前者という学生が少なくはなかったからだ。なぜ大きな政府か,日本は「和の精神を重んじるから」。思わずなるほど,と頷いてしまった。
 しかし,専門の学生なら,第1の問題は,テキスト以降,基礎年金の税負担が引き上げあれていること,その後も同様にすべきか,あるいはそもそも保険方式か,税方式かを調べた上で議論して欲しいところだ。
 第2の問題も,今現在,国の予算で社会保障費が一般歳出の6割近くを占めていることを踏まえた上で,「小さな政府」「大きな政府」それぞれ社会保障を以下に運営するかを議論して欲しいところだ。
 しかし,さまざまな学部の1年生が参加する教養セミナーではそんな細かなことは脇に置いて,所得の再分配について普段の生活の実感やニュースで得た意識からまず疑問や意見を交えるのがよいのであろう。こちらも制度の情報,実態などは,最後の講評で一言解説するに止めている。
 12月18日 東京は神田,某大学にて学会関連の仕事。

2016年12月13日火曜日

直感的読後感

 この間,加藤栄一「20世紀福祉国家の形成と解体」を読み返していた。
(初出は加藤栄一ほか『資本主義はどこに行くのか―二十世紀資本主義の終焉』第2章(東京大学出版会,2004),亡くなられた後に加藤栄一『現代資本主義と福祉国家』(ミネルヴァ書房,2006)の第9章に収められている。)

宮城学院女子大学「経済社会特論」や東北学院大学「政治経済学」で,最近の積極的労働市場政策,あるいはワークフェアをポスト福祉国家のセーフティ・ネットとして解説していたが,その位置づけが薄い,浅い,と感じていたからだ。
教養教育科目の場合は,話を簡単にせざるを得ないが,福祉国家の解説がスライド1,2枚に留まっていたので,改めて福祉国家の形成とその展開,さらに「解体」について学び直してみた。

故加藤氏は,宇野弘蔵の段階論を組み替えた論者としてつとに有名だ。
後者の場合,主要な資本形式の利害を反映した限りでの「経済政策」によって,資本主義の発展段階を画していたのに対して,加藤氏の立論では,経済政策の主要内容を通商政策から社会政策にシフトさせていることもあり,各発展段階を規定する経済政策は必ずしもその時代の主要な資本形式の利害を忠実に反映しているわけではない。経済政策を規定する要因も複合的であれば,発展段階を規定する要因も複合的とされている。

しかし,改めて読み返してみて,
加藤氏の福祉国家は,宇野の現代資本主義と同様,社会主義体制を規定要因としている。
そのため,社会主義体制崩壊後は「解体」としてしか位置づけようがなくなっているのではないか,という感想,未だ直感的に過ぎないが感想を得た。

12月8日 「経済社会特論」は雇用調整,「政治経済学」は雇用保険。
12月9日 「 基盤教育 」教養セミナーはいよいよ格差対策。レポーターは,ニート・フリーター対策,奨学金問題を議論点に挙げていた。経済原論演習は派遣法改正。

12月12日早朝。校舎から正門とそのずっと先の市街地。。

2016年12月4日日曜日

すでに31回

 12月30日 朝,かかりつけの歯科にて3ヶ月毎の歯垢除去。
 午後は,東北学院大学土樋キャンパスにて「三大学合同ゼミ」。第31回のテーマは菊地登志子先生のゼミ「"農"について考えてみませんか?」。第1ラウンドは,慣行栽培,有機栽培,自然栽培,工場栽培を比較して食の安全を考える。第2ラウンドは,有機栽培,自然栽培を活用した地元の取組みの紹介とその持続可能性。

最後に教師による講評。「第1ラウンドで,プレゼンターの推す自然農法以外の問題がよく伝わらなかったのではないか。完全な安全など内以上,程度問題に過ぎない。通常の慣行農法で差し迫った危険が無ければ,価格を考慮して選ぶ。つまり今まで通りだ。そのため,第2ラウンドの意義がよく伝わらなかったのではないか」

 終了後,広瀬通の銀座ライオンに場所を移して懇親会。
 アルコールに強くなく,赤くなった顔でテーブルを回り,各ゼミが普段どのようなテーマを扱っているか,なぜそのゼミを選んだのか聞いてみた。「学生がテーマを選べる」「ゼミに属してからテーマを探せる」が多かったように思う。

難しい盛り上がり

 12月1日 宮城学院女子大学「経済社会特論」は,前週の公的医療保険の解説を承けて,後期高齢者医療保険の解説と新聞記事の読み取り。前週の国民健康保険,国保の財政問題の解説では,問題が保険料未納ばかりにあるような印象を与えたかも知れないので,今回は老人医療問題を解説した。ただ,仕組みに即した解説なので「難しい」となる。結局,問題の所在は,高齢化≒医療費高騰と所得の伸びない中での医療費負担の両面あり,前者は老人医療費をどう抑えるかという技術的問題なので,勢い,後者,現役世代の保険による老人医療費の分担問題「財政調整」という制度設計の問題になる。しかし,これを伝えるのが,自分の力量では難しい。
 午後の東北学院大学「政治経済学」は,前週の人的資本理論解説を承けて,知的熟練論。また,賃金の話が一区切りしたので,穴埋め式小テストの予告。こちらも学生の感想はやはり「難しい」。知的熟練論は人的資本理論を現実の場に適用したモデルなのでが,モデルにリアリティを感じないのか,理屈自体が難しいのか。

 12月2日 教養セミナー「格差を考える」。レポーターの設定した議題は,1.階層の固定化に賛成か、反対か。反対とすれば、対策は,2.格差への対応は上下縮小か貧困解消か。前者の賛否は一致して対論にならないし,後者は違いがイメージしにくかったようだ。「盛り上がった」というコメントがあった反面,「議論に深みがなかった」。
 「経済原論演習」は有期解約の雇い止め問題。とは言え,テキストは毎度ながら法律改正の舞台裏のような話。民間と公務員での違いが不公正など。こちらはレスポンスカードを配布回収していないが,盛り上がりに欠いたような。