2016年12月19日月曜日

脇に置いて

 12月14日 山形中央高校で出前講義「年金の話」。
 年金をめぐるさまざまな問題を仕組み,制度に則して解説。要は,年金の理念・制度と,その後の社会の変化,女性の社会進出,就業者における自営業の比率低下と雇用者の増加,雇用者における非正規雇用の増大とがミスマッチを起こしている,その社会の変化を見て貰いたかったわけだが,その前の仕組みの解説が長く,さすがに高校1年生には迂遠な話に聞こえたかも知れない。
 しかし,大学の授業でも毎回行なっている択一式の確認問題は,選択肢一つ一つについてほぼ全員を指名し正誤を答えてみて貰ったところ,正解率が高かった。
 仕組みだけでも伝わった,ということであろう。

 12月15日 宮城学院女子大学「経済社会特論」は雇用保険,東北学院大学「政治経済学」は生活保護。 

 12月16日 「 基盤教育 」教養セミナーは格差対策の後半。レポーターの立てた議題は,1つはテキストで逆進性が高いと記されていた国民年金の負担問題,保険料負担,税負担どちらを増やすべきか否か。もう1つは日本はアメリカ型の小さい政府を目指すべきか,ヨーロッパ型の大きい政府を目指すべきか。意外に大きな政府支持が多かった。「意外に」というのは,普段,機会の平等と結果の平等では後者よりも前者という学生が少なくはなかったからだ。なぜ大きな政府か,日本は「和の精神を重んじるから」。思わずなるほど,と頷いてしまった。
 しかし,専門の学生なら,第1の問題は,テキスト以降,基礎年金の税負担が引き上げあれていること,その後も同様にすべきか,あるいはそもそも保険方式か,税方式かを調べた上で議論して欲しいところだ。
 第2の問題も,今現在,国の予算で社会保障費が一般歳出の6割近くを占めていることを踏まえた上で,「小さな政府」「大きな政府」それぞれ社会保障を以下に運営するかを議論して欲しいところだ。
 しかし,さまざまな学部の1年生が参加する教養セミナーではそんな細かなことは脇に置いて,所得の再分配について普段の生活の実感やニュースで得た意識からまず疑問や意見を交えるのがよいのであろう。こちらも制度の情報,実態などは,最後の講評で一言解説するに止めている。
 12月18日 東京は神田,某大学にて学会関連の仕事。

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