2018年3月29日木曜日

ご笑覧頂ければ

 抜刷の刊行が予告されたいた28日は朝から抜刷発送の準備に追われた。
 発送自体は後日でも,当日のうちに発送の準備は済ませたい。
  昨夕から練っていた抜刷の挨拶状を読み直し手直し。
  送付先リストの再検討。
  宛名シールの打ち出し
  角封筒へのありつけ等々
 抜き刷りが届いたのは14時過ぎ,論文2本と挨拶状を角封筒に詰め,チェックをする。結局1日がかりになった。

 昨年度半ばから練っていた論文が年度末,ようやく陽の目をみることになった。
 年度末は出張外出できなかったが,年度末残された2,3日しばし休暇を取りたい。
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 2つの論文の抜刷をお届けします。

 一昨年夏,研究会で拙著『生産的労働概念の再検討』が取り上げ手頂いた際,O先生から労働の定量性は,効率性原則による締め上げ以前に自然法則に規定されているとのコメントを頂きました(先生のHPにpdf)。

 しかし,私が定量性の根拠を生産的労働に求めたのは先生の95年の論文「生産と労働」に想を得てのことでした。当時の,労働そのものの中から定量的な生産的労働が分岐するという見方が09年のテキスト『経済原論』では労働・非労働区分に置き換わっていることについては拙著でも言及していますが,09年テキストに内在して,労働の定量性,その先の抽象的人間労働概念の抽出について検討し,後の展開への影響を論じたのが「労働生産過程論の埋没とその影響」です。

 ここでの労働生産過程論の埋没とは,労働の定量性ないし労働の同質性が労働を規定する以前の,自然過程としての生産規定から導出され,生産過程論の視角や課題が曖昧になったり,生産的労働規定が等閑になったりしていることを指しますが,そのような理論設定が,生産過程の自動化を担う機械制大工業モデルと,自動化しきれず手作業に止まるマニュファクチュアモデルという先生の「労働組織の多態性」論に,前者の埋没,後者の拡散という形で具体的な影響を与えていること,同時に拡散気味の熟練概念によって単純労働以外の労働の設定も曖昧になっていることを明らかにしようとしているのが「労働組織と労働の多様性」です。

 ご笑覧頂ければ幸いです。

 2018年3月28日(水)

研究合宿に参加したつもり

 毎年この時期になると,研究出張で上京している。
 たいてい3月28-30日の間,SGCIMEが八王子セミナーハウスで研究合宿を張っている。また,その前日27日には,関根友彦先生を囲む杉並経済学研究会が東京経済大学国分寺キャンパスで開催される。
 2つの研究会,4日間で数多くの研究報告が行なわれるので,そのすべてを吸収するのは難しい。キャパシティの小さいうえに関心を絞りがちな自分の場合は特にそうである。
 それでも研究仲間から様々な研究上の情報,他大学の状況・情報を耳にすることができる。

 ところが,今年度は事情により年度末出張ができず,合宿にも参加できなかった。
 研究出張には,上に述べた研究上の意義以外に,数日,職場を離れることで気分をリフレッシュされる意味もあるが,今年度はそれも叶わない。
 フィールドワークしない,書斎型の自分には半年の一度(上の合宿,研究会は年2回)は堪える。

 そこで,今回は自分も参加したつもりで,論文の抜刷をメンバーに送ろうと考えていた。
 10月初め締切りの大学紀要(社会科学変)が2月に刊行される。
 11月末締切りの学部研究所年報も同時期に刊行される。
 元は昨年度中に仕上げたかった論文だが,視角が定まらずあれこれ悩んでいるうちに,方法論上の問題と労働組織ないし労働の多様性の捉え方という問題は,当然つながってはいるが,分けて検討した方が良いと考え,2つの論文に分けた。

 ところが,年報の刊行が遅れ,3月26日に出来上がった。
 抜刷が届いたのは28日だ。
 
 というわけで,研究合宿前にメンバーに送り,自分も研究合宿に参加したような気分は味わえなくなったが,年度内に発送する目処が付いた。
 結局,職場をしばし離れることはやはり重要だ,と思った。

2018年3月28日水曜日

テキスト探し2

 3月26日,27日引き続きゼミテキスト探し。
 みわよしこ『生活保護リアル』(日本評論社,2013)。
 生活保護受給者の生活,受給までの経緯,自立の試み,NPOによる支援の試みなど。

 自民党が2012年暮れの政権選択選挙で勝利し,前政権が策定した13年度予算の次,14年度予算に向けて公約の一部に掲げた生活保護の削減の実施が練られていた2013年に刊行された。

 当時流布していた生活保護のイメージ「若くて,身体も悪くないのに,ちゃっかり受給している」に抗うように,不安定な就労から受給に至ったり,保護を受けながら自立を目指して職探しをくりかえしたり,就労に励んだりしている様子が描かれている。
 職務経験が途切れがちの人,身体が弱い人には,職にありつくのも,ありついても保護を抜け出すほど稼ぐのは難しい。

 経済成長が鈍化し(税収が伸び悩み),少子高齢化が急速に進む中で,政治家は国民に対し給付と負担の調整を提案をしなければならない可能性が高い。つまり,給付を取捨選択して切り詰めたり,負担対象を広げたり,額や率を上げたりしなければならない場面がある。甘い話でお茶を濁す,その場をやり過ごすわけにはゆかない。

 しかし,最も苦しい,選択肢の限られた人々に対しては慎重にしなければならない。
 少なくとも不正受給のイメージで給付切り詰めを推し進めることは減に避けなければならない。
 勧善懲悪劇に仕立てることは,問題の深刻さに蓋をして一時的な安堵を求めるようなものだからである。

2018年3月26日月曜日

ゼミテキストにもなりうる一篇の論文


 3月24-25日 例によって自宅-ドトールコーヒー-ジムの三角運動。
 月末になってようやく時間が取れるようになり,ゼミ,経済原論演習のテキスト候補探し。
 同演習ではここ数年「テキストは学生と話し合って決める」ことにしている。
 しかし,学生からの提案がない,あるいは少ないと決まるの時間が掛かることもあり,こちらの推薦も準備しておく必要がある。

 最近は専門書に限定しない(むしろ長いゼミ歴の中では一時期専門書を扱っていたにすぎない)。
 そこで,この間,新書から
 橋本健二『新・日本の階級社会』(講談社現代新書,2018)
  神野直彦『「分かち合い」の経済学』(岩波新書,2010)
 金子勝『資本主義の克服---「共有論」で社会を変える』(集英社新書,2015)

 この土日読んだのは,本ではなく,伊藤誠先生のベーシック・インカムに関する論文,解説記事。
「ベーシックインカム論を検証する--その可能性と限界 (特集 世界経済--長期大停滞の10年へ)」『世界』(814), 147-156, 2011-03
「ベーシックインカムの思想と理論」『日本學士院紀要』65(2), 135-132, 2011-01
「ベーシックインカム構想とマルクス経済学」(<特集>ベーシック・インカム論の諸相-これからの日本社会を展望して)『季刊経済理論』49(2), 6-15, 2012

 先生のベーシック・インカム論については,経済理論学会の報告を聴いていたし,上の論文も読んでいた。しかし,メモは別にして,要約という意味でのノートは取っていなかった。
 改めて読み返してみると,広く勉強されていて(失礼!),教えられることが多い。

 ゼミの教材としてみても,ベーシック・インカムの仕組みのほかに,その思想的・経済学的源流,戦後社会保障制度が逢着している問題,ソ連崩壊後の社会民主主義や先生の仰る民主的社会主義の課題等々。あるいは資本主義経済への理解(経済原論),マルクスにおける共産主義への展望等々。
 10から20ページの1つの論文を取り上げるだけでも,学生にはいろいろ勉強しなければならないことが多い,という意味では推薦テキストの有力な候補だ。

 3月23日 キャッスルホテル山形で開かれた学部の卒業祝賀会に出席した後,図書を返却に来られた末永茂さんと駅スタバ四方山話。

2018年3月22日木曜日

隠しきれない感情

 3月22日 午後,大学院を修了する陳さん,配偶者を連れて来訪。
 山形大学で研究生,大学院生と3年間過ごした陳さんは,その前,秋田大学に短期留学した経験があり,そのときに知り合ったのだとか。
 そう言えば,3年前,陳さんを連れ山形に現れたときの彼だ。
 台湾から来日した陳さんの付き添いとして「秋田からクルマで連れてきた」と聞いてびっくりしたが,ようやく訳が分かった。

 専ら北関東の日本企業に勤める彼の仕事の話。
 労働時間の長さ。日本企業と外資系企業との違い。
 「安定を求めるなら日本企業」
 
 研究開発上担当している技術実用化の話。
 「電気自動車の普及は電池技術の関係で直ちには進まないが,H2?くらいにはガソリン車に置き換わりますよ」
 等々様々な話。

 既に来日10年とのことだが,話に淀みがない。
 また彼が話している間中,その横顔を見つめる陳さんの表情には,尊敬や愛着の念が隠しきれずありありと現れていた。 
 

3カ月に一度の会合

3月17日 駒澤大学会館246にて学会誌『季刊経済理論』の編集委員会。

 委員が担当の論文の審査報告し審議の後,特集担当者が企画の説明,自薦・他薦書評の担当者割り当て,直近の投稿原稿の担当者割り当てと担当者による査読者の提案,といつも通り。

 財政難の折,年4回の会合を減らし,メールでの審議に切り替える話も出た。
 財政支援が減り,旅費等の自己負担率が高まると,遠方から来る委員は大変だ。
 
 しかし,みな現行方式を支持。
 論文の趣向,アプローチはさまざまであるものの,いやだからこそ担当者に任せっきりにせず,一堂に会して審査報告を聴いたうえで質疑応答を交えた方が雑誌の質を維持できる,と。
 みな自分よりずっと若いが,学会の運営に熱心だ。

 終了後,残った数名で談笑。
 ただ,今回は場所が駅近くの居酒屋からカフェに変わった。 

2018年3月9日金曜日

村山市より来客

 3月6日火曜日,いわき明星大学の末永茂先生来訪。
 大学図書館の本を借りたいとのことで事前にこの日16時頃到着と連絡があったのだ。

 先生は山形県村山市で農業を続けられながら,非常勤で講義をされている。
 電車を乗り継いでこられたとのこと。
 図書館にお連れすると同時に,研究室で談笑。
 最近の諸事情,公私大学の動向,再生エネルギーや農業のこと。あるいは現代資本主義。
 1年半ぶりにお目に掛かったことになり,話は止まらない。
 関心が広く,話題が豊富な方だ。
 また,面識をえた未だ日が浅いので,先生の関心の背景となる勉学や経験にも興味を覚える。.

 月末,図書返却のついでに再来訪されるのが楽しみだ。

例年通り

 歳を取ったせいか,最近は毎冬2回は風邪でダウンする。
 すると知恵が付いて用心の甲斐もあり,今年の冬は風邪を引かない,
と思っていたら,先々週末突如,鼻水,くしゃみが止まらなくなった。

 月曜日,かかりつけの医者に診てもらい,一日静養に専念したところすっかり下熱。
 
 ところが,その週,つまり先週の終わりから再び鼻水。
 といっても一日中ではなく,ほんの2,3時間だけ。熱もない。
 そのため,通院をためらっていたら,日曜日の研究会の最中に鼻水,咳が出始め,懇親会,月曜日の学部送別会を欠席。

 月曜日は一日会議が入っていたため,火曜日通院。
 やはり熱はなかったが,投薬続けることになった。

 熱もないのに風邪症状とは変な気分だが,1回の風邪で2週間マスク生活。
 例年と変わらない結果となった。