3月26日,27日引き続きゼミテキスト探し。
みわよしこ『生活保護リアル』(日本評論社,2013)。
生活保護受給者の生活,受給までの経緯,自立の試み,NPOによる支援の試みなど。
自民党が2012年暮れの政権選択選挙で勝利し,前政権が策定した13年度予算の次,14年度予算に向けて公約の一部に掲げた生活保護の削減の実施が練られていた2013年に刊行された。
当時流布していた生活保護のイメージ「若くて,身体も悪くないのに,ちゃっかり受給している」に抗うように,不安定な就労から受給に至ったり,保護を受けながら自立を目指して職探しをくりかえしたり,就労に励んだりしている様子が描かれている。
職務経験が途切れがちの人,身体が弱い人には,職にありつくのも,ありついても保護を抜け出すほど稼ぐのは難しい。
経済成長が鈍化し(税収が伸び悩み),少子高齢化が急速に進む中で,政治家は国民に対し給付と負担の調整を提案をしなければならない可能性が高い。つまり,給付を取捨選択して切り詰めたり,負担対象を広げたり,額や率を上げたりしなければならない場面がある。甘い話でお茶を濁す,その場をやり過ごすわけにはゆかない。
しかし,最も苦しい,選択肢の限られた人々に対しては慎重にしなければならない。
少なくとも不正受給のイメージで給付切り詰めを推し進めることは減に避けなければならない。
勧善懲悪劇に仕立てることは,問題の深刻さに蓋をして一時的な安堵を求めるようなものだからである。
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