2020年12月16日水曜日

最後の部分

  更新が1ヶ月半途絶えた。
 下書きを記してからも半月以上経った。
 そんなに慌ただしかったかと言えば,さほどでもないが,学務等に追われていたのかもしれない。

 覚えていることは3つ。

・全国大会共通論題「少子化と現代資本主義」に係わって,ワークライフバランスの重要性や分配の問題は報告者に賛同しつつも,どこで理解が異なるのか考えてみた。
1)育児に係わるコストは,地域(進学率)や親の職業によっても異なる。
 例えば,進学率が低い地域や低学歴でも親が現状に満足していれば,指定に高学歴を求めない。関連して,機会費用に関しても,県民所得が低い地域は出産(退社・非正規転身)によるコストを低く見積もる可能性がある。現に,県民所得が最も高い東京都の出生率が最低で,最も低い某県の出生率が最も高いなど。
2)費用化しにくい不確定的な要因が見落としがちとなる。
 育児に関わる直接的費用はまだ見通しやすく,費用化は容易だが,少子高齢化自体がもたらす将来不安等はそうではないであろう。

・その不確定的な要因に関わって,
 11月前半,経済原論2で2週にわたって生産的労働概念を解説した。
 まずその前の週,流通過程論,特に流通費用論に関わって,山口重克氏の価値形成労働の姚娟を紹介。ついで,家事労働論争を紹介しつつ,価値形成議論を解説。そのうえで,生産的労働概念にまつわる議論を紹介し,こんにちの多層化した労働の理論的位置付けを解説した。
 しかし,学生には難しかったようだ。 特に独自の見解でもある最後の部分に関して,「価値を形成しない生産的労働のところが難しかった」という感想があった。
 こんにちの多層化した労働,評価が入ってくる間接労働等や費用化しにくい家事・ケア労働等の意味,意義を理解するには,従来,表裏一体的に捉えられていた生産的労働を価値形成労働を分ける必要があるというのが一番伝えたかったことで,その区分基準が,労働とその成果との量的関係についての定量性と量的技術的確定性であった。
 しかし,後者の方で引っかかったということであろう。
 「技術的」に「定まる」なら同じではないか,と思われたのではないだろうか。
 確定性が得られないケースとして,成果の捉え方が主観的で定量性が保てない不生産的労働と,量的に定まった成果が求められていても,経験や知識に基づく判断が介在し,技術的視点ばかりで量的確定性を示せないものがあることを明確に伝えるべきであった。