2015年5月28日木曜日

意外なコメント

また授業における学生の反応書こうかなとか,
5月教授会における組織改革の議題について触れようかなとか,
ホームゲームのない週末について綴ろうかなとか
思い巡らしている内に1週間以上,いや10日も経った。

組織改革の議論は,途中退席中だったので,直接聞いていなかった。
ただでさえ球場の前後はカフェに籠る週末,ホームゲームがないと書くこともない。(前振りが長い^^;)

最近,学生の反応で驚いたのは「経済原論」のコメント。
5月26日は再生産表式論だった。
かつては学問上の一大論点だったが,
それについては簡単に触れ,
むしろテキストに即して再生産表式のもつ,特殊な性格についての解説を中心にした。

これはそもそも何のために再生産表式を論じるか,その理論的意義ということでもあるが,
講義では,資本蓄積論の前段として,再生産の経路を大づかみしてくれれば良い,と思っているので,
産業資本の活用を巡る学問上の議論は簡単に済ませ,
再生産表式の展開も,計算が問題ではないので,簡単な二部門モデルの加減乗除で示し,
再生産表式という分析ツールの特殊性を中心に説いた。

すなわち,
価値通りの交換を前提にしている(投下資本は必ず回収できると想定)。
使用価値としては,追加労働力の調達を不問にしている(可変資本は価値として回収されているので,使用価値としての生活資料さえ調達できれば,労働力商品は補填・調達できると想定)。
同一部門内で生産される使用価値は必ず補填・調達できると想定している。
労働力商品の調達が保証されているので,専ら第I部門,生産手段生産部門の蓄積率が再生産の経路を規定するという想定に立っている。

再生産表式の具体的展開も,その理論的枠組みについても言を費やして解説したつもりだが,
レスポンスカードを回収してみると,
「I部門,II部門c,v,mなどいろいろ出てきて全く理解できなかった」
c,v,mの意味は既に解説し,何度も使っているし,今回も口頭で略号の意味を説明しているが,
既に説明した略号など覚えていないからわからないという正直?な感想を漏らす学生がここ数年増えた。
これは本人の努力不足。

しかし,多かったのは理解できなかったという率直なコメント。
「今回の話は初めて聴いて理解できる人はいない,と思います」
端的に「ムズい」

そうかなぁ,詳しく説明したつもりなのに,と思っていると,
「拡大再生産式の説明を投げやりにほしいで欲しい」というコメントがあった。

これには正直驚いた。
失礼な!という意味ではない。
理論的位置づけも,理論構造も,計算の仕方も詳しく丁寧に,くどかったかなぁと思うほど解説したつもりだったので,
難しいと受け止める学生もいるかも知れないが,「投げやり」に映っているなど予想外だった。

思い当たるとすれば,
計算の元にある,上に記した考え方の解説に力点を置き,
その考え方で表式の展開を計算してみせた,だけというとだ。

計算問題を出すと必ず計算で躓く人がいる。
計算問題に慣れるようするには,練習問題をいくつか用意することで,以前はそうしていたが,
そうすると,躓く機会が多くなる。
そもそも用いているのは高等数学ではない,加減乗除の中学レベルである。
これを繰り返し練習することに意味があるとは思えない,むしろポイントが計算にあると誤解されては困る。
そこで,計算自体は問題でない,ゆっくり計算すれば誰でも正解に達すると断った上で,計算を示している。

ところが,計算問題を繰り返さないという配慮が学生によっては「投げやり」に映ったらしい。

こうなると,対応は難しい。
学生には「投げやり」と映っている以上,拡大再生産表式の説明,その計算に時間を掛けるべきだろうが,
限られた時間で計算に時間割いてしまうと,上に記したように,あたかも計算にポイントがあるように誤解される虞がある。

「表式の考え方が重要」と改めて断った上で,「計算が合わずに気になる者は相談に来て」と伝えるのが良いのかも知れない。

2015年5月17日日曜日

雨止んで陽射し厳し

近所のドトールコーヒー,Koboスタジアム宮城,ジム,ドトールは東北楽天イーグルスの試合がある週末としては毎度の展開。
5月16日(土)は前の晩から降雨が続き開催が危ぶまれていた(午前中止んだ)し,ジム帰りはスタバにした。

しかし,大きな違いは,
東北楽天イーグルス,期待の先発レイが崩れたのに,終盤ワンチャンスで逆転したこと
5月半ばだというのに,陽射しがきつく肌を刺すようだったこと

結果オーライですな^^;


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不遜な要求

学生からの質問とこちらの回答を連投しているうちに,気付いてみれば学生の反応は乏しくなった。
毎回レスポンスカードで確認問題への解答,質問・感想を募ったり,理解度,分量適切度について5段階評価して貰っているが,
理解度のスコアは落ちた。
学生には取っつきにくいと思われる方法論部分より,本論の方が明らかにスコアが低い。
また質問が減ってきた^^;。

第1に,前回の質問への回答,解説時間が長くなり,本論が圧縮された。
こちらとしては,経済原論は経済への見方の転換を迫っているわけだから,現実経済への関心がベースだ。
そのため学生の質問は,理論とは離れて時事問題の解説になっても答えておきたい。
しかし,導入部が間延びするのは事実だ。。
第2に,本論について,今年度からテキストの解説と学問上の議論を分けて解説しようと試みた点が学生にはかえって難しくなったようだ。
これは,昨年度の学生のコメントに,「教科書との結びつきが弱い」とあったのに対応したものだ。
初めはコメントの意味が理解できなかった。講義はテキスト内容の解説が基本だからだ。
いろいろ考えてみて,テキストーー元々教養のテキストだからアッサリしているーーを補足するために,学問的に敷衍したり,現実経済から例を拾ったりした部分がそれに当たるのかなと。
これは,場合によっては複数方向からの解説になり,難解に感じられたかも知れない。

ここは悩むところだ。
テキストのアッサリした叙述で理解して貰えばそれに越したことはないが,
それは説明を端折っている,論点に触れないということであり,「理解した」ことになることは疑問だ。
「わかんない」で関心を喪失させては元も子もないが,
「聴いているだけでわかる」のでは学問,問うことにならない。
教師側も論点の絞り込みが必要だが,学生にも聴いたことをいままでの理解と異なる,なぜだろう,と反芻してみる努力を求めたい。
大学が大衆化した今日,不遜な要求だろうか。

2015年5月12日火曜日

他の授業で学んだこと

経済原論」商品論での質問。

1「高校では「貨幣は商品ではない」と教えられたが」
2「歴史の授業で「貨幣は元々約束手形」と習ったが」

それぞれの授業の文脈が分からないので解答は難しいが,以下のように答えた。
1「(商品貨幣説では)元々価値のある商品が貨幣になった。貨幣になってしまえば,直接的交換可能性(貨幣は「何でも買える」ということ)の有無で商品とは対照的」。
2「今日(貨幣論で)解説。逆で貨幣(金)-->信用貨幣(金に替える約束で流通)。(その)先生は「日銀券は元々手形」と仰ったのでは?(信用貨幣手形の発達した形態が中央銀行券)」

資料の選択問題

学生の質問「囲い込みと地租改正が同じとは思えない。」

「資本の原始的蓄積過程(原蓄)」の例として,テキストではイギリスの「囲い込み運動」が挙げられており,講義ではそれとともに,日本では,土地(当時の主な生産手段)の所有権者確定を行なった1873年の「地租改正」がそれに当たる,と説明すると同時に、日本経済史の概説書より,以下の資料を引用し,直ちに近代的賃金労働者が増えたわけではない,と補足した。質問は,この説明の後段のことが引っかかって違和感を覚えたのであろう。



囲い込み運動では,単純に年代別の発生件数を示す折れ線グラフを示したのに対し,
地租改正では,産業・就業形態別の就業者数・比率の推移を示す表と粗密アンバランスだったので,生じた疑問だ。

回答「労働者を生産手段(当時は土地が主)から切り離しただけでは賃金労働者が生み出されなかったのは囲い込み運動enclosureも同じ。都市に追い出されても,まだ産業(資本)が発展しておらず,ホームレスとして流浪し風紀の乱れが懸念された。イギリス政府は「一方では,鞭打・熔印・死刑から奴隷化をさえ含む威嚇的な措置によって浮浪や乞食を禁止するとともに、他方ではそうした流民たちをなんらかの形で生産部面に復帰させようと努力した。「懲役職場」などを設けて浮浪者たちの手に職をつけようともした」(大塚久雄『欧州経済史』p34)」。

労働者の個性

講義の最後に,確認問題への回答と質問,感想等を求めるレスポンスカードを配布回収していると,全体のせいぜい5%くらいだが質問,感想が寄せられる。
そのうち,初学者の知識不足による質問,言い換えると正誤がハッキリしている単純な質問はここに載せるまでもないまでもないが,
初学者に限らず世間に一般的な疑問,あるいは深く考えさせる質問は紹介してみたい。

労働力商品が「社会的平均的能力」の売買であることについて「労働力には個人差があるものなので,社会的平均的能力だというのには少し違和感を覚えた。」

「一般の労働者は個人差を問われていない。単純な例が残業代の有無で,仕事の手順を本人では決められない(裁量性がない)以上,残業の発生は,個人の能力の問題ではなく,与えられた仕事が多すぎた,ということです。」(今日の講義で回答予定)

詳しい説明になるとかえって難しいので、講義プリントには下の図とともに掲載した。


新聞のイラストもあくまで例示で,細かくいえば,課長という肩書き,職位だけでは「残業代不要」とは言いきれない(例「名ばかり管理職」)。
裁量労働のイラストに三角マークを追加したのも、裁量労働に対する「見なし労働」適用は,8時間と見なせば,実際には10時間でも残業代不必要だが,9時間と見なせば,6時間労働でも残業代が1時間分支払う必要があるからだ。

2015年5月9日土曜日

早合点は禁物

今年のGWは,九州時代の,年下の友人高木君,竹内君とと函館に行った。

ちょくちょく温泉旅行に行っていたわれわれ3名にとって,函館旅行は念願だった。
われわれは,やはりGWに青函トンネル記念館を訪れ,津軽海峡を展望して,「次は函館で会おう」と誓い合っていた。

しかし,その後,竹内君がGW中なかなか都合が付かなかった。

調べてみると,記念館を訪れたのは2008年5月5日だから,実に7年振りの夢実現となった。
(青森の2年後に3名で岐阜高山に行った時には,3名の都合がこんなに合うことがないとまでは思わなかった)

初めて訪れた函館は,GW中ということもあるだろうが,観光地はどこまでも人だかりだった。
また,観光地は函館市内ばかりでなく,松前町の大沼国定公園でも中国語を耳にした。
中国本土や台湾からの観光客も多かったことになる。
それまで,函館を造船・水産で「かつて」栄えた町と捉えていた不明を恥じた次第だ。

観光客にとって便利だったのは路面電車の存在。
JR函館駅を中心に五稜郭から湯の川温泉まで,またその間に,綺麗な夜景を眺望できる函館山や函館市旧公会堂,赤煉瓦倉庫街まで観光が可能だ。
路面電車は,バスに比し,路線が限られているので,観光客には「どれに乗ったら良いのか」と迷うことが少ない。

2年前?,学会で赴いた松山では,路面電車が駅から道後温泉まで走っているばかりか,愛媛大学のキャンパス内まで走っていて,うらやましく思った。
その時は,松山市は人口が50万人超だから、と観念してみたが,
函館市の人口は,調べてみると,28万人弱だ。
山形市25万人と多くは違わない。

なぜ函館市では路面電車を維持できるのか,
観光入り込み客数の比較などしてみたが,専門外なので,止めた^^;。
いずれにせよ,早合点,諦めは禁物だと思った。





2015年5月2日土曜日

お父さん?

「xxxxに似ていますねぇ」明日からの旅行に備え,北九州市からやって来たT君を空港まで迎え,自宅で一端荷物を置いた後に近くのお好み屋に連れて行ったところ,店員からいきなり声を掛けられた。

XXXXとは,時々似ていると指摘される東北出身の性格俳優だ。
イケメンでも何でもない。むしろ農夫然とさえしている。
少なくとも似ていると指摘されても嬉しくなる容姿ではない。

オマケにその店員は「最初に料理を運んだ時から,似ている,と思いましたよ。お父さん!」

確かに高校の同級生は,息子が既に大学を卒業し,なかには子ども,同級生には孫がいるくらいだから,お父さんと呼ばれて何ら不思議ではない。

しかし,自分では気持ちが若いと思っていたせいか,
お父さん扱いされて,一挙に酔いが醒めてしまった。

2015年5月1日金曜日

色にも出る

新学期が始まると,授業を前期に固めているせいか,その準備と後処理に追われ,他のことは一切出来ない,という状態になった。
日中はそうだといっても夜は空いているとか,平日はそうでも土日までは塞がれないだろうとか,考えてみても,
夜はジムに寄ったり^^;,食後寛いだりしないと,疲労回復しないし
土日はホームゲームがある限り,球場に通わないと^^;,リフレッシュできない。
もちろん,球場通いの前後にスターバックスやドトールコーヒーに通ってはいるが,
平日はその暇もない。

そうすると,準備と後処理だけを済ませたら,もう帰宅の時間となり,ストレスが溜まる。
イライラした気持ちがそのまま表情に出てしまう。

歳を考えれば,誠に大人げない話だが,
昨日も頼み事に来られたお二人に突っ慳貪な対応をしてしまった。
彼らも本来の仕事以外の業務を追われてのことなので,自分以上に忙しいはずなのに,そこまで他人のことを思いやる余裕がなかった。

人を恋する気持ちなら「色に出りけり」でも良いだろうが,
人のことを慮る余裕のなさが「色に出る」ではみっともない。
Tさん,Nさん,申し訳なかったです。