2020年7月26日日曜日

残る疑問

 前々回,「ポストキャピタリズム」論が勉強になったことを述べ,最後に「物象化論とアソシエーション論の扱いや著者の貨幣の社会化論はまだ理解したとは言えず」と記した。

 アソシエーション論一般だと話が大きくなるが,
 いや実際はそっちに関心があるが,論じる理論次元の話に限れば,
 疑問は「宇野派の議論にアソシエーション論が欠けていることは構造的に明らか」という点だ。
 宇野派に限らず,理論から直接アソシエーション論が出て来ないのは,福祉国家論が原理論から直接出て来ないのと同様に思える。
 福祉国家の一部である政治的同権化(労働者の政治的地位の向上,例えば普通選挙権)も理論からは直接導き出せないだろう。
 労働組合もそうだ。
 市場の理論から市場競争自体を阻害する結社,談合を導くのは難しい。
 結局,価値法則なんて機能していない,という話になるからだ。古典派経済学に批判的だった初期マルクス段階なら別だが。。。

 もちろんマルクスの『資本論』にも絶対的窮乏化論や「最期の鐘が鳴る」論もあるにはあるが,理論的展開とは言いがたいというのが宇野弘蔵以来の認識であろう。

その他,著者による紹介は
  過渡期論 ポストキャピタリズム論
久留間派  アソシエーション論
宇野派 福祉国家論 市場社会主義論 
のように読める。

しかし,
・ポスト・キャピタリズムとしては両派は同じ内容に行き着くのか?(そもそも理論から一義的に導けるのか)
・アソシエーションは共同体原理(人格的依存関係),いわゆる生産手段国有化論は非共同体原理(機能的関係)であり,接合可能なのか? (接合するとなると,いわゆる国有化論は共同体体制(人格的依存関係)になり,共同体と問題を共有する。
・共同体の人格的依存関係という問題点,所有権論(国有化論もその一つ)の問題点(失敗)はどのように克服されるのか?
という点に疑問を覚える。
 「労働者のアソシエーション」というフレーズであたかも問題が解決したかのようだが,
・アソシエーションがどのように成立するのかという問題
・アソシエーション,あるいは共同体(人格的依存関係)は無前提に肯定されてよいか
という問題が残っているのではないか。

時代性

 学期末,さまざまなレポート等の処理で忙しいはずだが,
先週末は楽天イーグルスの試合を生観戦。
最近,コロナ感染が拡大しており,罹患も濃厚接触者になるのも怖かったが,感染者は今後拡大の一方と思うと,「今が最後のチャンスになりかねない」と考え,球場へ。
 18,19日の2試合,決Kは1勝1敗だが,内容は打てる限りで勝てるというBクラス野球(早速次の週は連敗街道)。

 24日には,毎日新聞の政治エッセイで紹介されていたのを読んで,突如,映画を観たくなった。
 「なぜ君は総理大臣になれないのか
 急遽ジム通いを20時半からの鑑賞にスイッチ。

 最近は劇場HPから座席指定,チケットもクレジット決済。

 そのHPに「若尾文子映画祭」のニュース。
 著名だが一度も映画を見たこともない女優の,1962年の映画を25日(土)21時から鑑賞。
 浮気,不倫はいつの時代でもだろうが,妻の座を争うに時代性を感じた。

2020年7月20日月曜日

ポスキャピ?

 先週は学務に追われ,剰余価値論の勉強は後回しになった。
 他方で,その前の週くらいに届いた経済理論学会誌『季刊経済理論』57-2の特集企画「ポストキャピタリズムへ」に関心を引かれ,特集論文を読んでみた。
 特に結城剛志「ポストキャピタリズム論の諸相---貨幣の社会化への射程」は勉強になった。
 福祉国家論と市場社会主義論の違いが整理されていた。
 他方,物象化論とアソシエーション論の扱いや著者の貨幣の社会化論はまだ理解したとは言えず,ノートを取っている最中だ。

2020年7月19日日曜日

ほんつゆ

 前回,南東北では一日中降り続くことは少な久,今年は「優しい梅雨」と記したが,先週になって一転。一日中降る日が続いた。
 
 先月,一時はベルトがキツくなっていたが,今では手のひら一つ,二つくらい空くようになった。

 例年通り体重と体脂肪率が落ちる「本物の梅雨」だ。 


2020年7月7日火曜日

第2の就職氷河期は形成されるか


 「失業率はさらに伸びそう」というのは無神経な物の言い方だったかもしれない。
  休業者や就職活動中の学生には今後のことが不安になるからである。

 先月末発表された総務省「労働力調査(基本集計)」5月分によれば,完全失業者は万人(前年同月比33万人増),完全失業率は2.9%(前月比0.3ポイントの上昇)であった。
 しかし,休業者が423万人いる。
 今回,中小企業の場合,企業が休業者に支払う休業手当は100%雇用調整助成金から補填される。(労基法上,企業の都合による休業の場合,賃金の6割以上の支給が必要)
 しかし,企業にとって毎月の支払は賃金だけではない。
 家賃や諸々の契約上の基本料金が必要であろう。
 地方自治体による休業要請が解除されても,売上げがさほど回復せず,企業がそれらの支払に堪えられなくとなると,廃業・倒産となる。
 休業も失業になる。

 報道によると,失業率は年末には4%に達するとの予測が立っている。
 直近では,リーマンショックの翌年2009年7月の5.5%が月間失業率の最高値だから,まだまだ低い。

 しかし,上の予想は, 新型コロナウィルスの感染拡大が終息したまま第2波が到来しないという想定であろう。
 第2波が到来し,緊急事態再宣言や休業再要請が生じると,失業率の二番底が形成される。

 懸念されるのは,ワクチン開発が遅れ,感染拡大が何度か続くケースである。

 「就職氷河期世代」はリーマン・ショックでは形成されなかった。
 91年バブル経済崩壊後,長い不況の仮定で,新卒採用の収縮が何年か続いたため,氷河期が形成されたのだ。

 その意味で,景気下落が短期に終われば,就職率の低下も短期に終わり,就職浪人の学生も正社員採用されて行くであろうが,景気低迷が長期化すると,新卒採用を絞り込みが何年か続き,「第2の就職氷河期」が形成されてしまう。

 失業率がさらに上がるのは良くないことだが,それで済めば,今の経済状況から言えば,御の字。
 上がったまま高止まりすると,新卒採用も抑えられ続け,影響も長期にわたるのである。

流れ出る

 体重や体脂肪が落ちると,梅雨入りを実感する。
 食事や運動は年間を通してさして変わらないのに,冬場にピーク,梅雨にボトムのサイクルを繰り返しているからだ。

 南東北では,今年は一日中降り続くということは稀で,土砂降りもほとんどない優しい梅雨を迎えている。
 3年ぶりの豪雨に見舞われた九州には険しい梅雨となった。

 九州にいた間も熊本にはあまり訪れた記憶がない。
 大牟田には,短大で非常勤を勤めていたので,大牟田線は2年間,前期だけ毎週大牟田線で通っていた。
 久大線は2度くらいしか利用したことがないが,先が長いとのんびりできた。

 街は浸り,橋が流れ,住民の方は大変な思いをされているだろう。
 亡くなられた方のご冥福をお祈りする。
 避難所に逃れた方には,大震災をみても辛抱も長くはないと伝えたい。

 それとは別に,個人的な思い出と思いが流れ出て止まらない。