2020年7月7日火曜日

第2の就職氷河期は形成されるか


 「失業率はさらに伸びそう」というのは無神経な物の言い方だったかもしれない。
  休業者や就職活動中の学生には今後のことが不安になるからである。

 先月末発表された総務省「労働力調査(基本集計)」5月分によれば,完全失業者は万人(前年同月比33万人増),完全失業率は2.9%(前月比0.3ポイントの上昇)であった。
 しかし,休業者が423万人いる。
 今回,中小企業の場合,企業が休業者に支払う休業手当は100%雇用調整助成金から補填される。(労基法上,企業の都合による休業の場合,賃金の6割以上の支給が必要)
 しかし,企業にとって毎月の支払は賃金だけではない。
 家賃や諸々の契約上の基本料金が必要であろう。
 地方自治体による休業要請が解除されても,売上げがさほど回復せず,企業がそれらの支払に堪えられなくとなると,廃業・倒産となる。
 休業も失業になる。

 報道によると,失業率は年末には4%に達するとの予測が立っている。
 直近では,リーマンショックの翌年2009年7月の5.5%が月間失業率の最高値だから,まだまだ低い。

 しかし,上の予想は, 新型コロナウィルスの感染拡大が終息したまま第2波が到来しないという想定であろう。
 第2波が到来し,緊急事態再宣言や休業再要請が生じると,失業率の二番底が形成される。

 懸念されるのは,ワクチン開発が遅れ,感染拡大が何度か続くケースである。

 「就職氷河期世代」はリーマン・ショックでは形成されなかった。
 91年バブル経済崩壊後,長い不況の仮定で,新卒採用の収縮が何年か続いたため,氷河期が形成されたのだ。

 その意味で,景気下落が短期に終われば,就職率の低下も短期に終わり,就職浪人の学生も正社員採用されて行くであろうが,景気低迷が長期化すると,新卒採用を絞り込みが何年か続き,「第2の就職氷河期」が形成されてしまう。

 失業率がさらに上がるのは良くないことだが,それで済めば,今の経済状況から言えば,御の字。
 上がったまま高止まりすると,新卒採用も抑えられ続け,影響も長期にわたるのである。

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