2013年7月29日月曜日

半年後の現実

「住宅ローン減税、高年収ほど恩恵 消費増税8%時 。民間試算、年収500万円は負担増」

013年7月29日の 日経Web刊

「政府は消費増税による住宅購入者の負担増を軽減するため、住宅ローン減税を拡充する。14年4月から17年12月に入居する場合の減税枠を現在の2倍にする。最大4000万円までの住宅ローン残高の1%を税額控除する仕組み。減税額は年間最大40万円、期間10年で400万円になる。/年収510万円以下の中低所得層向けには、現金給付もする」。



「15年10月に予定する消費税率10%段階では年収800万円以外は現在より税負担が増える。10%時は現金給付措置を拡充するが、消費増税で負担が増える影響が大きい。」

2013年7月27日土曜日

その先

2年生向け「専門基礎演習」は今週で終わった。

最終回の最後,講評で語ったことは,
「この半年間は皆さんが独自に調べたことやいろいろな考えが聞けて楽しかったです。
ただ,他方で,毎回講評していたことでもあるんですが,
いろいろ調べてみてわかったメリットとデメリットを平面的に対置する(対置してメンバーに賛否を尋ねる)
その先に,一般には報道されない事情,背景がある,専門だからその先を調べて欲しかった。
しかし,やはりこの科目は専門基礎。
その点は3年時以降の専門演習で鍛えられて欲しい」

最終回は規制緩和。
経済特区,保育所民営化,限定正社員。
それぞれメリット,デメリットまで挙げている。

しかし,例えば,保育所増設しても,待機児童はすぐには減らない。むしろ増える。
つまり,統計上の待機児童数を超えて潜在的待機児童がおり,増設によってそれらが顕在化する。
とすれば,保育所というハードウェアだけでの問題ではない。

限定正社員というと「解雇自由化」と一緒にされて直ちにアベノミクス批判の材料にされる感がある。
敷かし,限定正社員は非正規雇用と違って無期契約だ。
契約内容の事業がなくなれば,解雇されるおそれもある反面,限定な長時間労働を免れることができるので,
上の待機児童問題もその一つである子育て,少子化対策にも貢献する可能性がある。

民主党政権下の昨夏発行された『労働経済白書』平成24年版でも,
「限定正社員」という言葉こそ使っていないが,ある小売企業における同様の仕組みを紹介している。

白書によると「M社員については、2009年度までは有期の契約を前提としつつ、基本的には契約の更新を行う形で雇用してきたが雇用の安定を求める雇用者の声や、A社としても企業のDNAを雇用者に継承したいという観点から、2010年度に、4年目以降は契約を無期とする制度を導入した」とあり,会社側が従業員に非正規雇用以上の働き方を求める意図があったことを明らかにしている。


しかし,非正規雇用と同様の,賃金格差は解消されるのか。
同一労働同一賃金原則による時間賃率×労働時間で正社員と収入が違うだけなのか。
最初から賃金が違うのか。
(演習では非正規雇用と同様に「安い」賃金を自明視する発言もあった)

また,子育てが一段落すると,正社員に戻れるのか。
つまり,個人が選べるのか。
(A社は「社内教育の体系について、経験年数や職務に応じた違いはあるが、基本的に社員間で大きな差を設けず、M社員から社員、F社員からM社員への転換制度も設けている」とされ,白書も「M社員やF社員は、時間外労働や事業所間異動の有無、職務に伴う責任について、自らの希望やライフスタイルと照らしながら選択することが可能であるため、転換制度は一定の転換実績を上げている」と評価している。)

少なくともこの2点が解消しない限り,「第2の非正規雇用」を創設するに等しい。


『労働経済白書』平成24年版p142










慎重かつ健全

若い人に接していると,
市場を所与の前提にして,競争や自己責任をそのまま受け容れている印象を受ける。
もちろん,みな「セーフティ・ネットは必要」とはいうものの,
その内容、現状を「知らない」がために,
競争は仕方ない,で済ましかねない。

経済とは異なるが,
憲法や安全保障でも,若い人は置かれた地政的環境や歴史的経緯を「知らない」がために,
「普通の国」を主張して,疑問に感じなそうだ,と思っていた。

ちょうど教養セミナー「格差を考える」最終回は憲法改正。
格差とは異なるが,グループ報告で選ばれたテーマだ。

参議院選挙でも主な関心の一つが、改憲に両院の3分の2の賛成を求める憲法96条の改正であった。
しかし,前の週に選挙も終わり,憲法96条自体を改正する勢力が3分の2に達しなかったので,
関心も憲法改正よりも集団自衛権を可能とする解釈改憲の方に移っていた。
セミナーで討論するには「時期既に遅し」の感があった。

また,報告者側の問題提起も9条改正の方であった。
理由も「9条を変えない限り外交上一歩引いた態度で臨まざるを得ない」という素朴なものだった。

96条改正が現実的はなくなった状況で
96条改正とはすなわち9条改正という身も蓋もない問題提起で議論が弾むかなぁ,と危惧していたた。

ところが,話し合いを始めると,
9条のどこをどう変えるのか,付随して何が起こるかなど議論が具体的な論点に及んだ。
現在,法的には(最高裁の判断としては)国家固有の自衛権は有する(自衛隊は合憲)という立場だ。
では何を付け加えたり,変えたりするのか。
集団自衛権はどうか。
自衛隊を国防軍と解消する意義は何か
紛争地帯にも出て行くのか。
軍隊には必須の軍法裁判(特別法廷)を創設することになるが良いのか。
また9条以外にも国民の権利,義務等の改正で何が変わるのか。


最初の問題提起は粗かったものの,
しっかり勉強している学生が議論をリードしてくれて,
憲法改正に係わって考慮すべきことがいろいろ出てきた。

結果,ほとんどの学生が9条改正にはかなり慎重であることがわかった。
また,改憲派の学生も「安易な改憲が起こる96条改正には反対」としてた。

付随して問題提起された「国民投票に行くか」にも,国のあり方を決める投票なのでみな行くべき,という意見が大勢だった。

経済面では市場主義,もっといえば新自由主義的傾向が強いとの印象を受けていた最近の学生,
安全保障面では慎重,健全だった。

2013年7月24日水曜日

先は長い

土日遠出。
所用のため,22日は15時過ぎ、近くの高校で投票。
内も外も涼しい。

開票速報を見る限り,昨年暮れの総選挙以来の「民主党一人負け」が続いているようだ。
無党派層の支持が集まらなくなっている(宮城ではみんなの党,自民党に次ぐ第3位)。
全国的にも都市部でことごとく競り負けているのはその現れだ(例外は北海道,福岡くらいか)。
他方で,労働組合の組織内候補は手堅く勝ち残っている。


無党派層に見放された現状を前に,特に労働組合の支援を基盤としていなかった議員,政治家らは野党糾合,新党への道を模索しかねない。
しかし,「風頼み」では同じことの繰り返しであろう。
風が去った途端に,後援会,産業団体等,組織の強固な政党の前にはじき返されるだけである。


今回の自民党圧勝を見ていると,
デフレや原発事故,増税法案成立等リーマンショック後の様々な事象には全く関与していないかの如くである。
有権者としてはアベノミクスが,たとえ円安による一時的景気浮揚とうすうす気付いていても,当分その夢に浸っていたいように見える。
そのような情緒性に、郵政選挙後-政権交代-再交替に至る心服の大きさの原因を感じなくもない。

むしろ,同党の再生には、国民の信頼を勝ち取るために,政策の決め方やその実効性の担保(党内決定事項の遵守)をどう変えていくのか,
一つ一つ丁寧に説明してゆく地道な努力が求められるのではないか。

55年体制のような,単に「異議申し立て」の政党に止まらず,
「政権交代可能な」政党を目指すとするならば,
政治がたぶん二女著的に捉えられる今日では特に,
先は長い,とみるべきであろう。

2013年7月18日木曜日

音色の異なるアラーム

スマホにいつもと異なる音。画面オンにした途端にメッセージが消えたが,しばらくして再び鳴動。

山形市長名で青柳地区に避難勧告。「今後もさらに激しい雨が予想され,河川氾濫及び土砂災害の危険性が高まっています。避難所などへの避難をお願いします」。

青柳地区は大学から北7km。県立中央病院,県立保健医療大の辺り。仙山線も走っている。大事に至らないよう祈る。


大江町は堤防決壊
西川町は国道トンネルの外壁?崩落

2013年7月17日水曜日

梅雨の谷間

関東甲信越は先々週末に梅雨明けし、猛暑が続いているようだ。
南東北は、まだ梅雨が明けていないものの、先週の山形は最高気温30度前後が続いた。

しかし、先週末、集中豪雨に見回れてから、急に気温上昇にブレーキが掛かった。

先週は窓を開けて寝ていても蒸し暑く、エアコンに頼る晩が2,3日はあったのに、今や窓を開けていたら、身震いして目を覚ますようになった。

朝だけではない。
ジム帰りの夕方も薄着している身には、涼しかったり、急に咳込んだりする。
身体は6月からヶ月以上掛けて夏に順応しようとしてきたのに、
外界が急に6月初めに戻っては「梯子を外される」「振り上げた拳の置き場に困る」
ようなものである。
昨秋仕舞ったきりみつからなくて新たに購入した、お気に入りのショートパンツも街では不釣り合いな印象を与えるばかりだ。

もっともこれは今週の仙台でのことで、
山形は違う。豪雨後も蒸し暑い。
教室ではエアコンの温度設定を気を配らなければならないのもいつもと同じだ。
同じ南東北でも笹谷トンネルを文字通り県境に様変わり、はいつものことである。(2013/7/17)

2013年7月16日火曜日

三大学合同ゼミ


第24回三大学合同ゼミ
2013年7月13日(土) 13時30分~18時
東北学院大学 土樋キャンパス

テーマ「教育の崩壊」

論点1;萎縮する教師の例
論点2:その原因
論点3;問題点はどこにあるか

最後の教員講評で述べたこと。
(ヨソの大学の学生に辛辣菜コメントと受けとられるかも知れないが,東北学院大学でも宮城学院女子大学でも非常勤講師を務めた経験があるので,いつも通り率直なコメントを行った)

1)レジュメ
A.見通しが悪い
「教育の崩壊」とは何を指すのか? 「体罰」や「いじめ」はその現れなのか,原因なのか?
Bデータが傍証,根拠になっていない
データは体罰の数に変化無し,いじめ件数は減少傾向,教師の数は微増気味。
差し出したデータが言いたいこととは違うのでは言葉で「メディアで取り上げるようになった」「(教師の)仕事量が増えた」と補っている。ならば,そちらのデータを探して載せるべき。

2)議論について
皆さん当然のように議論してているが,現実の教育行政(公教育)の仕組みが説明されていない。
「指導要領がころころ変わって混乱」等,説明のない自明視した発言がたびたびあったが,どういういうことか?
体罰やイジメ件数などの表面的データ以外に、教育委員会の役割と実際など「仕組みの説明」「勉強」があっても良かったのではないか。

3)なぜ経済学部,経済のゼミで 扱うのか説明が欲しかった
「テーマ」を他人事のように捉えている印象を受けた。周囲のプレッシャーにさらされている教師に同情している風だ。
しかし,学校以外でも同様の事態はしばしば指摘されている。
顧客がクレームを持ち込む,職員に暴力を振るうは公共の場のいたるところで起きている。
電車,駅のホーム,空港,航空機。会社の中ではいわば「萎縮する教師」然としているのに「顧客の立場では」強気に出て,無理難題をふっかける,キレる。
学校内部の問題に押し込めない方が良いのではないか。

7月14日は自宅,ドトール,ジム,ファミレスと行脚ないし堂々巡り。

一段落

12日,金曜日記したものを公開し忘れた。
---------
報告資料に種々アドバイスした,木曜日の教養セミナー「格差を考える」と
2年生向け「専門基礎演習」は,実際にはあまり反映されなかったが,議論の法はあるい程度活発に行われた。但し,前者はいわば材料不足で議論が一巡して時間を持て余すしたため,代わりに自分が司会役として皆の意見を尋ねることになった。

他方,広義の法は要約ほとんどの科目の講義資料と毎回の確認問題をWebclassにアップロードした。
また2科目残ってい入るが,ほぼ完成しているので,
前期の広義準備としては,月末の期末試験の採点と成績入力以外はほぼ終えた,と言って良い。

やはり自分のテーマに専念できるかな,というところで週末。
あすは三大学合同ゼミ「教育の崩壊~苦境に立つ教師~を考える」に参加するため,自分本位は来週に持ち越しかな。

2013年7月10日水曜日

アドバイス

7月9日 「経済原論」は金融資本・イギリス型。

木曜日の教養セミナー「格差を考える」,
2年生向け「専門基礎演習」,それぞれの報告スライドが届いた。
前者は地域格差,後者は生活保護。

当日まで間があるので,目を通して,アドバイス。

前者は専門外の学生,しかも1年生なので,あまり細かなことは要求できない。
ただ,空洞化の原因は大店立地法,というだけでは主張が平板に聞こえるので,
成立の経緯(旧大店法から等の転換理由)を調べ,報告者の考える将来像,ショッピングモールとの関係について考えておくようにアドバイス。

後者は2年生とはいえ,専門の学生なので,気付いた点を細かく列挙。
論旨がわかりにくい,主な論点が格差是正なのか,不正受給対策なのかというほかに,
章節番号やスライド番号を振るとか,
せっかくのスライドなのだから図表を活用するとか,
データを準備しておくだとか
もっと細かくは具体的条文を例示している意図とか。

2年生には細かい要求かも知れないが,
報告にさしてできるだけ準備をしておく,ということは研究者にならなくても,会社員でも一般に要求されることだ。
と返信しておいた^^。

粗忽

7月8日(月) 基盤教育「市場と人間の生活」は生活保護の現状について。午後3時頃下校。

 昨晩コンタクトレンズの片方を紛失したため。
 視力・眼底検査等があり,1時間半位で終了。
 1年保証の期間内のため,紛失分は約5千円(といっても,両眼更新された)。

 コンタクトレンズは既に2,30年以上,利用しているが, これまで紛失したことは1,2度しかなかった。しかし,この数年は毎年か2年に1回位破損もしている。
 破損は現在のメーカーに替えて以降のことだから,素材,品質の問題かも知れない。

生来,粗忽者である。
失敗談には枚挙に暇がない。

しかし,かつてはコンタクトレンズを破損したことも紛失したこともほとんどなかった。
以前レンズを着脱していた洗面台は寮の流しだったり,狭い洗面台だったり,ウッカリすると流出,紛失の虞が大きかった。
にもかかわらずそういうところでは決して紛失せず,
洗面台が大きくなった最近,自宅において紛失したり,最終的には見つかっても紛失騒ぎを起こしている。

加齢による注意および動作の緩慢さが原因かな。

2013年7月5日金曜日

一般向けと専門向け

木曜日は教養セミナー「格差を考える」と
2年生向け「専門基礎演習」。

今までは同じテキストを用い,2週で1章という同じスペースで進んでいた。
専門外の1年生と専門の2年生はレジュメの要約の仕方から,発せられる質問も異なり,興味深かった。

しかし,共通テキストも,先週で終わり,
今週からは各チームが選んだテーマ報告。

 教養セミナー「格差を考える」は生活保護,「専門基礎演習」はTPP。

なるほどテーマ選択も一般向けと専門向けと対照的?

 教養セミナー「格差を考える」は 報告チーム4名の内2名が大幅遅刻。
特にレジュメ作成の中心人物がおらず,質問に答えられない箇所も。
「あり得ない」「責任を問う」(メンバーのコメント)。
しかし,レジュメ自体は「丁寧」「要を得ていた」(同)。
なるほど一般向け。

専門基礎演習」はTPPについて
「地域格差」(への影響),「医療問題」「雇用」と分野を分けて,
メリット,デメリットを提示。
そのうえで,最後に「TPPに賛成か反対か」を問うていた。
いかにも専門的だ。
「 知らなかった影響をわかりやすく解説してくれた。」「様々な観点から議論できた」


しかし,TPPは難しい。
政治の場でも議論が噛み合っていない。

反対派は「例外なき自由競争」という原則を盾に種々の弊害を指摘している。
他方, 政府 は各国の「聖域」は認められており, 農産物5品目」(コメや麦、牛肉、乳製品、砂糖)は守ると主張し,
公的医療制度(公的医療保険,混合診療)や単純労働者の移動や医師や看護師など個別の資格の相互承認は TPP交渉で 議論になっていない,と躱しているからだ。

したがって,単にメリット,デメリットを挙げるだけでは「隔靴掻痒」の感を拭えない。
「踏み込んだ説明はなく議論しにくかった」

専門といっても基礎演習だ。
各人,未だ習っていないことも多い。
しかし,関心はあり,テーマも各人の専攻する分野・科目と隣接しているはずだ。
それぞれの専門から「一歩踏み込んで」分析し,解説する冒険があっても良いだろう。








2013年7月1日月曜日

不審電話

6月29日,土曜日,早朝外出。
駅前スタバ,国分町スタバと行脚して自宅まで自転車漕いでいる最中に電話2回。

2度もとは緊急のさては来週講義をお願いしている学外の方からかな,と思ったが
帰宅すると折り返してジムに行ったため,電話するのを忘れていた。

2時間後に発信元に電話を掛けてみると,某地方の警察分署。
窓口の者は電話した記憶がない,という。

しかし,電話の主が警察であることには違いない。
警察が何の用だろう,といろいろヨクナイことをそうぞうした。

数分後,再び電話。
「xxxxx分署のxxxxdです。
わざわざ電話道も。
実はある事件に係わる人物に連絡とろうしたんですよ。
しかし,その電話番号は全く別の氏名の方だとわかりましたので,
もうこの件でこちらか電話することはありません。」

不審電話の真相は不審人物の電話番号がマイナンバーだった,ということ。
落ち着かない一件落着。

6月30日日曜日は早朝,女子サッカードイツ4x2日本途中からTV観戦。
自宅近くのドトールコーヒー,合間に講義の準備,ジム通いもほとんど進展なし。