また授業における学生の反応書こうかなとか,
5月教授会における組織改革の議題について触れようかなとか,
ホームゲームのない週末について綴ろうかなとか
思い巡らしている内に1週間以上,いや10日も経った。
組織改革の議論は,途中退席中だったので,直接聞いていなかった。
ただでさえ球場の前後はカフェに籠る週末,ホームゲームがないと書くこともない。(前振りが長い^^;)
最近,学生の反応で驚いたのは「経済原論」のコメント。
5月26日は再生産表式論だった。
かつては学問上の一大論点だったが,
それについては簡単に触れ,
むしろテキストに即して再生産表式のもつ,特殊な性格についての解説を中心にした。
これはそもそも何のために再生産表式を論じるか,その理論的意義ということでもあるが,
講義では,資本蓄積論の前段として,再生産の経路を大づかみしてくれれば良い,と思っているので,
産業資本の活用を巡る学問上の議論は簡単に済ませ,
再生産表式の展開も,計算が問題ではないので,簡単な二部門モデルの加減乗除で示し,
再生産表式という分析ツールの特殊性を中心に説いた。
すなわち,
価値通りの交換を前提にしている(投下資本は必ず回収できると想定)。
使用価値としては,追加労働力の調達を不問にしている(可変資本は価値として回収されているので,使用価値としての生活資料さえ調達できれば,労働力商品は補填・調達できると想定)。
同一部門内で生産される使用価値は必ず補填・調達できると想定している。
労働力商品の調達が保証されているので,専ら第I部門,生産手段生産部門の蓄積率が再生産の経路を規定するという想定に立っている。
再生産表式の具体的展開も,その理論的枠組みについても言を費やして解説したつもりだが,
レスポンスカードを回収してみると,
「I部門,II部門c,v,mなどいろいろ出てきて全く理解できなかった」
c,v,mの意味は既に解説し,何度も使っているし,今回も口頭で略号の意味を説明しているが,
既に説明した略号など覚えていないからわからないという正直?な感想を漏らす学生がここ数年増えた。
これは本人の努力不足。
しかし,多かったのは理解できなかったという率直なコメント。
「今回の話は初めて聴いて理解できる人はいない,と思います」
端的に「ムズい」
そうかなぁ,詳しく説明したつもりなのに,と思っていると,
「拡大再生産式の説明を投げやりにほしいで欲しい」というコメントがあった。
これには正直驚いた。
失礼な!という意味ではない。
理論的位置づけも,理論構造も,計算の仕方も詳しく丁寧に,くどかったかなぁと思うほど解説したつもりだったので,
難しいと受け止める学生もいるかも知れないが,「投げやり」に映っているなど予想外だった。
思い当たるとすれば,
計算の元にある,上に記した考え方の解説に力点を置き,
その考え方で表式の展開を計算してみせた,だけというとだ。
計算問題を出すと必ず計算で躓く人がいる。
計算問題に慣れるようするには,練習問題をいくつか用意することで,以前はそうしていたが,
そうすると,躓く機会が多くなる。
そもそも用いているのは高等数学ではない,加減乗除の中学レベルである。
これを繰り返し練習することに意味があるとは思えない,むしろポイントが計算にあると誤解されては困る。
そこで,計算自体は問題でない,ゆっくり計算すれば誰でも正解に達すると断った上で,計算を示している。
ところが,計算問題を繰り返さないという配慮が学生によっては「投げやり」に映ったらしい。
こうなると,対応は難しい。
学生には「投げやり」と映っている以上,拡大再生産表式の説明,その計算に時間を掛けるべきだろうが,
限られた時間で計算に時間割いてしまうと,上に記したように,あたかも計算にポイントがあるように誤解される虞がある。
「表式の考え方が重要」と改めて断った上で,「計算が合わずに気になる者は相談に来て」と伝えるのが良いのかも知れない。
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