2016年12月13日火曜日

直感的読後感

 この間,加藤栄一「20世紀福祉国家の形成と解体」を読み返していた。
(初出は加藤栄一ほか『資本主義はどこに行くのか―二十世紀資本主義の終焉』第2章(東京大学出版会,2004),亡くなられた後に加藤栄一『現代資本主義と福祉国家』(ミネルヴァ書房,2006)の第9章に収められている。)

宮城学院女子大学「経済社会特論」や東北学院大学「政治経済学」で,最近の積極的労働市場政策,あるいはワークフェアをポスト福祉国家のセーフティ・ネットとして解説していたが,その位置づけが薄い,浅い,と感じていたからだ。
教養教育科目の場合は,話を簡単にせざるを得ないが,福祉国家の解説がスライド1,2枚に留まっていたので,改めて福祉国家の形成とその展開,さらに「解体」について学び直してみた。

故加藤氏は,宇野弘蔵の段階論を組み替えた論者としてつとに有名だ。
後者の場合,主要な資本形式の利害を反映した限りでの「経済政策」によって,資本主義の発展段階を画していたのに対して,加藤氏の立論では,経済政策の主要内容を通商政策から社会政策にシフトさせていることもあり,各発展段階を規定する経済政策は必ずしもその時代の主要な資本形式の利害を忠実に反映しているわけではない。経済政策を規定する要因も複合的であれば,発展段階を規定する要因も複合的とされている。

しかし,改めて読み返してみて,
加藤氏の福祉国家は,宇野の現代資本主義と同様,社会主義体制を規定要因としている。
そのため,社会主義体制崩壊後は「解体」としてしか位置づけようがなくなっているのではないか,という感想,未だ直感的に過ぎないが感想を得た。

12月8日 「経済社会特論」は雇用調整,「政治経済学」は雇用保険。
12月9日 「 基盤教育 」教養セミナーはいよいよ格差対策。レポーターは,ニート・フリーター対策,奨学金問題を議論点に挙げていた。経済原論演習は派遣法改正。

12月12日早朝。校舎から正門とそのずっと先の市街地。。

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