先々週金曜日,学生による授業評価の結果,各スコア一覧表と自由記述のあるアンケート原票が戻ってきた。
授業評価の値は,自慢ではないが,高くない。
といって,手を抜いているわけではなく,いろいろ改善しているのだが,学生からは工夫を逆に受け取られることもある。しかし,この点を述べると愚痴っぽくなるので,結果から気付いたことを1つ,2つ。
1つは,スコアが相対的に高かった「
市場と組織」の理解度と総合評価が大きく落ちていることだ。
この科目は,「
経済原論」と異なり,賃金制度や内部労働市場の仕組みを具体的に解説している(かつてのように知的熟練をめぐる細かな学問上の議論には立ち入っていない)ので,スコアは高かった。少なくとも平均的だった。これが大きく下落している。
いろいろ考えてみて,思い当たる節は2つ。
自由記述にも記されていたが,毎回の確認問題の選択肢の既述に紛らわしいものがあり,正答肢が見つけにくかったようだ。確認問題の点数は1回3点だが,そのまま合計点に算入されるので学生には不安・不満が生じたのだろう。ほとんどの問題は毎年使っているが,新たに作った場合には周到にチェックしないと,紛らわしさが残ることがある。
もう1つは能力主義賃金の年功制をめぐる議論を久しぶりに紹介したが,講義資料も説明もこなれておらず,わかりにくかったのではないか,ということだ。
元々賃金制度に則して,能力主義賃金には年功的側面があることを仕組みのうえでは説明してきたが,それに関する学問上の議論を紹介するのはまた別の話で,理屈っぽい話となる。
よく整理し,内容を絞る必要がある。
気付いたことの2番目は,以前記したかも知れないが,今期は私学の講義が増え忙しくなった分,気持ちに余裕がなく,レスポンスカードの数が足りない,プロジェクターが映らなくなっても気付かずに講義を続けたりいなど細かなミスを繰り返してしまった。
これらは技術的な問題で,講義内容そのものの問題ではないが,学生には準備不足というイメージを与えたかも知れない。
忙しくなった分,講義の準備や後処理の中味を絞れば良いのだが,絞りきれず余裕がないままに進め,学生には迷惑を掛けた。
以上の反省に立って来期のこと(講義はほとんど前期に固めている)を検討する必要がある。
詳しく述べようとして2週間も経ったので,ポイント2つ。
1つは,進度の設定。
毎回確認問題を出題し,平素の成績として配点している。
択一式問題2問が一般的だが,正誤を問う問題である以上,その範囲まで授業を進めないと出題できない,授業の進度を拘束されている形だ。
」毎回のまとめのような記述式に代えるのも方法だし,確認問題の出題を1回毎ではなく,事前に全範囲分の問題を別紙にまとめ,毎回の授業ではその中から適宜利用するのも一法だ。
もう1つは,作業の合理化。
「
地域社会論」では,レポートを課して,採点し,その成績を単位に反映させている。
レポート=提出すれば単位ではまずい,と考えているからだ。
実際には枚数が多いので,段落分けや各段落の分量など形式的な面の採点に留まっている。
しかし,それでもかなりの時間を食うし,他科目とレポートの取扱いがあまりにも異なるということも考慮する必要がある。
また,同科目では,毎回のレスポンスカードで要約,感想,質問・要望等を提出させているが,その提出記録のチェックと内容のチェックに時間が掛かっている。
講師に返却する学生の質問・感想部分を読むことに専念し,提出チェックは,記録をWEB上で公開していることもあり,TAによるチェックだけで済ませても良いかも知れない。
さらに,最も時間の掛かる,レポートの採点は他科目とのバランスから,もっと限定することも考えられる。