「経済原論」では日高普『経済学』(岩波全書)をテキストとして用いている。もともと教養科目のテキストだが,原論固有の領域ばかりでなく,経済学の生成や19世紀末以降の資本主義の発展を解説してくれているので,専門科目と言っても初学者に等しい学部2年生にはちょうど良いと考えてのことである。
後ろ3分の1の,資本主義の発展に関する叙述は,段階論的叙述と現状分析的叙述とを明確に分けているわけではないが,冒頭第4章『経済学の体系』では経済学方法論として三段階論について解説されている。
このテキストを10年以上近く用いているが,この解説が三段階論の必要性,言い換えると原理論-現状分析という二段階論の問題点を十分に解いているとは思えなかった。いわゆる修正主義論争に触れてはいるが,二段階論の典型である修正主義,教条主義それぞれの問題点を説明し切れていない。そのため,自分独自に両者の問題点を解説することをしていたが,学生には小難しい理屈と映るようで,十分伝わっているとは言えなかった。
そこで昨年,序論部分のまとめのつもりで,加藤榮一「福祉国家と資本主義」(工藤章編『20世紀資本主義』2,東京大学出版会,1995年,後に加藤『現代資本主義と福祉国家』第6章,ミネルヴァ書房,2006年)の一部を読んで設問に答えて貰う読み取りを行なってみた。
しかし,8ページ分読んでもらおうとしただけで時間オーバーしたり,専門論文のためか「日本語が理解できなかった」と散々な評判であった。
今年は別の文献をと考えていたが,適切なものが見つからなかったので,序論的部分を削って正味6ページで再チャレンジしようと考えている。
もとより加藤論文は三段階論の必要性自体を説いたものではない。宇野三段階論の特徴と問題点を指摘した上で自身の現代資本主義へのアプローチを示したものである。
そこで,三段階論の必要性自体はテキスト第4章の解説で行ない,加藤論文には,段階論の現代資本主義への適用の仕方,三段階論の意義を学生に示し,現代と資本主義の関係を考えて貰うことを期待している。
来週火曜日の授業時間に読み合わせ,5月11日までに学生に設問「宇野と加藤の現代資本主義の位置づけの違い」への答えをBlackboardに入力して貰う予定である。
さて,どういう解答,感想が得られるか,楽しみである。
4月19日 講義資料を作り,Blackboardにアップロードしたという記憶しかない。ジムの後,寄ったファミレスは学生,しかも20前後の若い学生で一杯。大学病院の近くなので医学部の学生か。
4月20日 7時発の高速バスが満席で素通りされ,10分後のバスも1名のみの空きで乗車。「経済原論」は資本主義的生産様式の生成。その後,上述の来週火曜日の講義資料作成。ジムにて5km走復活3日目。脚がパンパン。走り出しは脚が重いが,数分もすると,脚のことより完走までの残り時間ばかり考えて脚のことは忘れてしまう。昨日のファミレスと同じ系列店なのにほんの数百m離れているだけで学生より社会人が圧倒的に多いから不思議。
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