二晩続けてサッカー・ワールドカップ南アフリカ大会の生TV中継を観た。
スペイン0x1スイスとアルゼンチン4x1韓国だ。
スペインもアルゼンチンも今大会でもっとも注目されているチームの一つだ。
しかし,スペインが優勝候補の筆頭で,大会の最大の関心事もどのチームがスペインの優勝を阻むか,であるのに対し,アルゼンチンを優勝候補に推す向きは少ない。昨季FIFA最優秀選手メッシという個人の活躍に注目を集めているチームにすぎない。まして監督があの「サッカー好きのタダのおさん」である。
ところが,スペインがグループリーグ初戦でスイスから1点も奪えないまま負け,決勝トーナメント進出に黄信号が点った。対して,アルゼンチンは初戦1対0ででナイジェリアを退けると,韓国には完勝した。
美しいポゼッション・サッカーでEURO2008を制覇したスイスが久しく負けたことのないスイスに負け,組織戦術に関心がなさそうな「あのおじさん」に率いられた個人の集まりアルゼンチンが順調な滑り出しを示した。
なぜだろうか?
相手が違うと言えば,それまでである。
屈強な大男で固めた守備陣の前ではスペインの小柄な選手は跳ね返されるだけだった。
他方,今回の韓国チームは俊英揃いで堅守速攻の戦術も徹底しているとは言え,アルゼンチンとの戦力差は大きい。
しかし,それ以上に大きいのは中心選手の好不調や力量だろう。
スペインはイニエスタ(西バルセロナ)もFトーレス(英リバプール)も長い故障休場から復帰したばかりでとても本調子とはいえない出来だった。
他方,メッシは楽しそうにボール遊びしていた。一端メッシがボールを持てばショーじゃないかと勘違いするくらい,縦横無尽に走り回って誰も止められない。加えて,スペインリーグ「リーガ・エスパニョ-ラ」でメッシに次ぐ得点を稼いだイグアイン(レアル・マドリッド)が調子を上げていた。初戦ではチャンスを悉く外していたのに韓国戦ではハット・トリックを遂げた。
両チームともポゼッション・サッカーを志向する以上,攻撃的選手の出来不出来や力量差の影響やは大きい。
中心選手が不調のスペインは美しいサッカーを繰り広げても1点もはじき出せず,
「楽しいだけ」のようなアルゼンチンは得点を重ねて勝ち星2つを積み上げた。
メッシの傑出ぶりは誰の目にも明らかでそのプレーは観る者を惹きつけて止まない。
個人技サッカーで決勝トーナメントを勝ち抜けるとはとても思えないが,
組織戦術はシッカリしていても,中軸選手がシャビ以外不調では戦力差が著しいグループリーグでさえ勝ち抜くのは難しい。
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