2010年2月7日日曜日

わかりやすい冷徹さ

 篠田節子の小説,エッセイをたまに目にするが,いつもその独特なシニカルな視線にどきっとさせられる。

 ということで,半月前ブックオフで買った篠田節子『天窓のある家』(新潮文庫)の最初の2,3編を読んみた。
 いずれも家庭を持った女性が主人公。夫は甲斐性がなく,主人公一人思い悩んでいる。読みやすい,わかりやすいが,少し類型的。夫に限らず主人公以外の登場人物の書き込みが薄い,浅い。

 冷徹さで言えば,「女は金の貸し借りに友情を利用したりはしない。男女関係を利用することはあるが,たいていは下半身がらみで,精神までも利用しないという点において,はるかに清潔だ,と有子は思った」(p23)という見立てに一瞬ひやっとしたが,次の瞬間,そうかなぁと疑問がもたげた。本来ビジネスライクなことに人間関係が絡んで思い悩む(悩まない)は人によるとしか言いようがないからだ。普段意識しない闇をつくのは心地よいが,紋切り型の,つまり類型的な決めつけでは対象とされた男性ばかりでなくとも,鼻白む読者も多いのではないか。

 2月6日 早朝デイパックにノートPCを詰めて外出。戻った時には道路も歩道も圧雪状態。

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