2011年2月11日金曜日

どっちなの?厚労省

この間,2つの報道に接した。

一つは厚労省が生活保護の期限付け「有期保護」を検討しているという赤旗の報道。2ちゃんねるのスレッドにもなっている^^;。

公務員対策講座でも話したのだが,生活保護費の1/4負担を求められている市町村が音を上げており,かつては「水際作戦」(相談に止め申請不受理),今は押し付け合い(ホームレス施設のある仙台市等へ他の市町村窓口担当者が誘導),そして「有期保護」。
働く能力のある相に職業訓練を施す代わりに数年で打ち切るという「有期保護」は元々指定都市市長会の提案だが,生活保護は保険料支払を条件とする社会保険とは異なり,その必要性あれば無条件に給付されるべきものであり(当然資力調査あり),有期化は「生存権」を謳う憲法25条違反の疑いが濃い。

他方,読売新聞によれば,パートタイム労働者への厚生年金適用の拡大も検討を始めたという。

これも同講座で解説したことだが,
セイフティ・ネットというと,市場から押し出された者向けというイメージがある。
ところが,実際は正社員と非正規雇用の扱いは異なり,内部労働市場に入れない非正規雇用の方がずっと不利なのである。

雇用保険は加入条件および受給条件が非正規雇用の勤務実態に合わず,失業給付を受け取れない層がいる。
年金や医療保険は,正社員が労使折半,給料天引きの「被用者保険」(厚生年金や健康保険,公務員,私学教職員は共済組合)で「未納」の虞はほとんどない。保険料も所得比例なら年金も所得比例だ。
それに対して,「正社員の労働時間の3/4以上」という基準のために,非正規雇用のほとんどは被用者だが,被用者保険外の,元々自営業者を対象にした国民年金や国民健康保険(国保)に加入させられている。両方とも本人が入金するので「未納」の可能性が生じる。若年層では未納率4割を超したとも言われている。

上の条件を緩和し,パートタイム労働者も厚生年金に加入させることは,安倍内閣でも検討されたが,定額の(報酬比例ではない)代わりに低額でもある保険料を引上げられたくない被保険者や保険料率労使折半になると支払義務が生じる事業主の反対に遭い頓挫した。

しかし,20歳から59歳まで丸40年支払って月6万余り受け取れ,最低の25年間ではさらに減額される基礎年金だけでは老後の生活は厳しい。彼らが生活保護のお世話になれば,全額税負担となる。また,少子高齢化のなかで保険料収入を増やす必要もある。パートタイム労働者への厚生年金適用基準を緩めるべきであろう。

報道通りなら,厚生労働省はどちらを向いているのか疑問に感じる。
格差の拡大を阻止したいのか,その努力を放棄するのか。
態度をハッキリさせて貰いたいものである。

 2月10日 来年度の,「自治体経営」や「地域社会論」について講師とのテーマ,日程交渉で一日潰したような記憶しかない。

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