5日 毎年執筆を依頼されている春闘パンフレットの「経済指標の解説」。全国経済の部分について官庁の資料を基に昨年版の数字を書き換え。内閣府『月例経済報告』の基調判断の変遷が示しているように,昨年前半までは「景気が持ち直し」手痛。さらに夏には「自律的回復への基盤が整いつつある」と一層踏み込んだ回復宣言を放った。ところが,10月には景気「持ち直し」より一段弱い,景気「足踏み」を宣言するに至った。円高の影響である。
それでも「足踏み」にすぎない。業況判断IDは先行き(今年3月予想)は慎重だが,企業収益は大幅増であり,投資計画も増加基調だ。
しかし,雇用環境の改善は遅れている。
企業の雇用人員判断は,「過剰」判断する企業数のほうが「不足」と判断する企業数より多いが,僅かに数ポイントにすぎない。雇用調整はほぼ完了しつつある,と言ってよい。
現に11月の完全失業率(季節調整値)こそ5.1%で前月と同じだが,完全失業者数は前年同月に比し6ヶ月連続の減少を示している。
ところが,完全失業者の半分余りは失業期間「1年以上」の失業者であり,この層は減っていないどころか,増えている。
昨冬のボーナスは3年ぶりに増加したが,支給額はITバブル崩壊後の02年を下回り、20年前の水準に相当する。14.93%減と過去最大の減少率を記録した昨冬の落ち込みを補えず「個人消費を刺激するには力不足」という(同紙12月12日付け)。
雇用環境の改善を急ぎ内需を欠くことものにしない限り,
景気が持ち直しても,
欧州経済がPIGSないしPIIGS(ポルトガル,イタリア,アイルランド,ギリシャ,スペイン)の国債償還危機と救済の条件としての財政再建に追われ,米国経済が「出口戦略」を後回しにして大幅な金融緩和を続けざるをえない以上,
円高によって再三再四「足踏み」せざるを得ないこと必至であろう。
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