繰り返し述べているようにベーシック・インカムに対し必ずしも賛同しているわけではない。
しかし,周囲の学生を観る限り,余り関心を示さない。
それはそもそもベーシック・インカムが提唱される現実生活における問題,セイフティ・ネットの現状を知らないが故の拒絶反応ではないか,と述べた。
すると早速,昨日のゼミで種々の諸説を調べた上で反省,反対の論拠をそれぞれ報告してくれた。
「ワークフェアの問題点など先週から指摘していましたよ」。
あぁ,そうだっけ^/^。
目の前のゼミ生に拘らず,続きを書こう。
ベーシック・インカム拒絶症の根拠の一つに「働かざる者,喰うべからず」という労働倫理がある。
あるいは,ベーシック・インカムに限らず,例えばこども手当などに対し直ちに「バラマキ」という批判が巻き起こる。
しかし,現在,われわれが受け取っているものは,それほど対価性があるのであろうか?
例えば,年金は基本的に保険方式を採っているが,老齢基礎年金(共通の1階部分)の毎年の給付の2分の1は国費負担,税金である(2007年度までは3分の1だった)。
医療保険も,例えば,国保(国民健康保険)による現物給付(窓口にで本人3割負担以外の7割の拠出)は全て保険料で賄われているのではなく,その約43%は国費ないし市町村の負担である。国保以外,すなわち被用者保険(健康保険,共済組合等)も同じである。
賃金の現金部分だって,雇用調整助成金という形で税金が投入されている可能性がある.あるいはそもそも賃金自体が市場の競争だけで決まったものではない。団結権が認められ,最低賃金が法定されている中で決まっているのである。
経済原論のモデルでない限り,市場外の諸要因が関与しているのである。
「働かざる者,喰うべからず」としてベーシック・インカムを拒絶する説き,こうした現実は念頭に置かれているのであろうか。
ベーシック・インカムの特徴は,給付ということそれ自体よりも,それを統合している点にある(その点はまた後に触れたい)。
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