2010年8月24日火曜日

マスコミの論調

一時期は異口同音に「財政再建」が最重要課題としていたマスコミが
現在は円高対策だと口調を揃えている。

しかし,国債のほとんどを国内で引受けられている日本を海外投資家に依存するギリシャと同列に扱うのが不合理なのと同様,
現在の円高を政府が積極的に介入なり対策を打てば反転するかのように報じるのは不合理であろう。

現在,日本経済は昨年3月からの景気回復の歩みが緩くなっているにもかかわらず,円高が発生している。
米国経済の回復の遅れ,二番底の虞,ギリシャ等国債の償還金融機関に絡むユーロ不信という外部的要素が原因であることは疑いようがない。

米国は「日本の長期不況の再来」が怖れられている状況で,FRBでは深刻菜デフレへの突入を防ぐためには何でもする気構えのようである。また米政府はドル安による輸出増をハッキリと狙っている。

このような状況下で,政策介入の余地は限られている。

例えば,8月24日付け読売新聞社説「菅・白川会談 政策協調で景気の失速防げ」は,末尾で「カギを握るのが日銀の対応である。金融緩和は、財政出動による金利上昇圧力を抑え、円安を促す効果もある。日銀は一段の量的金融緩和に踏み切るべきだ。/政府が円売り介入で市場に放出した資金を日銀が吸い上げず、緩和効果を高める手法も、過去に実績がある。検討に値しよう。」と述べている。

しかし,量的金融緩和は意図的にインフレを引き起こす不況対策であり,現在,回復基調の日本経済に適しているか疑問である。回復の足取りが鈍くなれば,成長分野の投資,雇用促進で財政援助すべきであろう。
さらに,欧州,米国が深刻な経済状況にあるとき,小手先の介入で引き留められる為替の振幅は限定的とみた方が良い。

マスコミの口調を合せた円高対策論調が投機筋に一層の円先高感を与えているのではないか,と危惧する。

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