2011年4月19日火曜日

総論賛成年金改革案の行方

昨日,日本経済新聞に載った「年金受給開始年齢の繰り上げ」案に懸念を示したばかりだが,
今朝の同紙は,厚生労働省案として,2段階改革を紹介している。

第1段階 (数年後の実現を目指す,「現行制度の改善」)
 高所得者向け給付額抑制
 専業主婦からの保険料徴収
 パート労働者の厚生年金への加入条件緩和
 厚生年金と共済年金の一元化
 「給付抑制と無年金・低年金対策の強化を組み合わせ、年金制度の信頼回復を目指す」

第2段階 (「より抜本的な制度の変更を目指す」)
 所得比例年金
 最低保障年金の創設など

 第2段階の改革内容は「民主党のマニフェスト(政権公約)」に盛られたものであり,現在の政治情勢,ねじれ国会,民主党の支持率低迷からすれば,実現の見通しは暗い。同紙が載せた行程表には「時期は明示せず」とある。

 しかし,第1段階の改革内容も,安倍内閣で法案化までしたパートの厚生年金加入問題が,業界やパートタイム労働者らの反対によって葬り去られたように,実現するのは容易ではない。
 同法案は「被用者年金一元化法案」と略称されていたように,第1段階の「厚生年金と共済年金の一元化」も含まれていた。
 つまり民主党であれ自民党であれ,改革の必要性が認められていることなのであるが,個別案件は利害関係が絡んで先に進んでいなかったのである。
 
 誰も負担が増えたり,給付が減じられるのは辛い。
 しかし,老後の生活を「自己責任」に任せられるかというと,労働市場の規制緩和によって非正規雇用がこれほど拡大した状況では,一層期待できなくなっている。
 もちろん,抽象的に言えば規制緩和一般が悪いとはいえないが,実際に起きていることは,正社員との格差が開いたままの非正規雇用の拡大であり,年金の将来を危うくさせている。
 65歳から支給される基礎年金への国庫負担金(税投入)を2009年度から1/3から1/2へ引上げるのを決めたのも構造改革を推し進めた小泉政権の時であった(2009年度を目処に2004年度から段階的に引上げ)。

 「みんなで支え合う」必要性は,大震災のように目の前に映像として顕わなになってことに対してしか認められないのであろうか。

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