2012年5月22日火曜日

記事の論調は疑問だが


5月20日,日曜日の日本経済新聞「けいざい解読」欄は「失業多い男性 賃金低い女性 業種で偏り、成長に影」

まず米国ではリーマンショック後,男性の雇用が多い製造業や建設業で過酷なリストラが行なわれ,男性の方が女性よりも室牛王が深刻な状況「マンセッション」(mancesshion,男性man,不況recession)という造語まで生まれたが,米経済の回復と共に失業率の男女格差は縮まった。

他方,日本では元々失業率の男女格差は小さく,男性が上回るようになったのも97,8年からだ。
むしろ問題は女性の比率が高い業種の賃金水準が低い点にある。
「3月の労働者1人あたりの現金給与総額をみると、医療・福祉は約26万円。非正規雇用が多いこともあって、建設業の約33万円や製造業の約32万円を下回る」。

最後に,モノからサービスという雇用の重心移動は先進国共通の流れである以上,サービス業の生産性は大きな課題である,
と同時に,製造業の再生も重要だ。「円高の是正や法人減税、自由貿易の推進などを通じ、自動車や電機の競争力を高めなければならない」。
「マンセッションが問う成長戦略の課題は多い」と結んでいる。

医療・福祉関係の賃金の低さは,「非正規雇用が多いこと」が係わっていることは間違いないが,同時に女性が多いこと(「女性の比率が75%に及ぶ業種である」)も関わりがあるだろう。
つまり「モノからサービスへ」以前から男女賃金格差は存在したからである。

その意味で,あたかもサービス業だけの問題のような解説は納得ゆかないし,
どさくさに紛れて,結論部に突如,法人税減税を滑り込ませるのもどうかと思う。

このように記事の論調には疑問を感じるし,
現実の低賃金は困ったものだが,
製造基地と見られがちな地方経済にとっては,新たな雇用の受け皿として「医療・福祉部門」の雇用が拡大している事実は着目されて良いのではないか。

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