2012年5月19日土曜日

ため息

18日金曜日の朝一「経済原論」は再生産表式の解説。

経済原論の分野ではかつて再生産表式を題材にさまざまな検討が重ねられ,その研究蓄積は厚い。
他方,山口重克『経済原論講義』のように表式論を割愛したものもある。

自分自身は,表式はそれ自体では分析ツールではなく,社会的再生産の均衡態様を如実に表すイラストレーションだと考えているので,
込み入った議論には立ち入らず,なるべく簡潔な2部門モデルで均衡態様と表式の意義と限界を解説している。

と言う訳で,自分ではかなりわかりやすく説明しているつもりだが,
いつも最前列に座り,講義後毎回のように質問してくれる男子学生がため息を何度もついていた。

上述のようにこちらでは最も簡潔に解説しているつもりなのに,学生には感銘ではないらしい。

その後いろいろ考えてみたが,
理屈としては簡潔,感銘でも,初学者からすれば,理屈ばかりに映っているのだろう。
また「何のために」という意義付けも納得できなかったのであろう。
ちょうどリード文のない新聞記事や,図表が全くない現状分析のように。

そこで19日午前中,法事で横浜に出掛ける母を駅まで送った後,
来週月曜日の基盤教育「市場と人間の生活」と,火曜日の経済原論」とが共に資本蓄積論の予定だったので,一旦WebclassにPDFをアップしたばかりか,印刷も済ませていた分を書き換えてみた。

細かな専門用語はなるべく避け(最小限に留め),1ライドで済ませていた解説を2ページに分けてみた。
資本蓄積パターンと相対的過剰人口を関連づけようとしているので,どうしても理屈っぽくなるが,
2パターンのあり方と特徴を一層対置させることで浮かび上がらせ,人口問題との関連も丁寧に説いたつもりがあるがどうだろう?

我々からすれば,理屈を通す方が大事だが,学生との関係では理屈よりも説得性の方が重要となる。
両者が旨く切り替えられないと,溜息をつくのはこちらばかりになりかねない



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