2012年1月29日日曜日

経済原論の講義メニュー

来年度シラバスを入力する必要があり,ここ2,3週間「経済原論」の講義メニュー(項目立て)をあれこれ考えてみた。

まだ確定版ではないが,主な変更点は基礎編と専門編の2層構造にしたことである。
現在の講義メニューは経済原論固有の領域に他に19世紀以降の資本主義経済の発展を解説する部分を加えたものである。
これは,本学では段階論に相当する経済政策論が常勤科目として解説されていないこと
および本来教養科目用に執筆された日高普『経済学』を教科書に用いていること
による。

しかし,そうなると30コマではテキストの解説で精一杯,ということになる。
現在の大学では,かつてのように「教科書は副読本扱い,講義では教科書を離れて自分の考えを話す」というわけにはゆかない。学生から「授業で用いないのならテキストに指定しないで」という苦情が寄せられる。
教科書に即して講義する限り,現在のテキストでは上のような概説だけとなる。

これでは経済原論という科目の,メニュー,概要は伝えられても,学問として何を論じてきたか,その科目固有の課題,科目のおもしろさは伝えられない。

もちろん,学生の関心はむしろ経済原論という抽象的なモデル論が現実の資本主義をどのように説明するかという方にあるだろうから,現行の教養スタイルの方が合っているかもしれない。
最近の学部教育では,学問上の議論は,経済原論に限らず,余り取り扱われない,と伝え聞く。

しかし,いわゆる教養スタイルで,19世紀以降の資本主義経済の発展,変化を解説しただけでは経済原論固有の課題は伝えられない。

そこで,経済原論固有の課題,学問上の議論は論点を絞った上で後半に回し,前半は概説に徹することにした。

もちろん,学問上の議論ばかり15コマも解説していては学生も食傷気味になるだろうから,経済原論の構成のうち,込み入った部分,資本蓄積,市場価値,地代,発券集中,擬制資本は後半の研究編,応用編に回すことにした。

こうして,後半の応用編には,上記の込み入った経済原論の議論の他に
経済学の体系,労働価値説の論証,価値形成労働(家事労働,サービス労働,商業労働),商品過剰論と資本過剰論等の学問上の議論が並ぶことになった。

これはいわば「昔ながらの専門科目への回帰」であり,
こんにちの学生にどう受け止められるかは,予測できない。

こんにちの「専門科目の教養科目か」「大学の学校化」の流れのなかでは全く逆の方向である。
また,経済原論の演習(ゼミ)は,学生の参加が多い大学もあるようだが,
本学の,私の担当する科目としては学生の参加が少ない。
「応募者ゼロ」の年もままある。

そのような状況で「専門科目へ回帰」することは無謀に等しいかもしれない
しかし,経済原論の教養科目的部分で現代の話,法人資本主義や内部労働市場を論じても,
また経済原論演習でそれらを扱っても
学生には「経済原論を勉強する意義」は伝わりにくいであろう。
ではいっそのこと「経済原論に内在的な話」をしてみようと思ったわけである。

 1月27日 午後大学院ゼミは引き続き労働組合運動論。ジムの後ドトール・コーヒー。春休みの公務員対策講義向け講義「格差問題」の講義用スライド24枚,上映用スライド33枚,資料としてのみ配付する「非正規雇用」関連資料スライド12枚を確定。

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