1日の朝日に「東電値上げ「出来レース」か 経産省が事前にシナリオ」という記事が載った。
「経済産業省が、東京電力から家庭向け電気料金の値上げ申請を受ける前の4月に、あらかじめ「9月1日までに値上げ」という日程案をつくっていたことがわかった。」
しかし,具体的なシナリオを特定したのは朝日のスクープであろうが,
値上げ自体は,今回の原発事故の賠償スキームからすれば当たり前のことで,不思議でも何でもないのではないだろうか。
すなわち現在の賠償体制は,東電を清算して国が賠償するのではなく,東電を存続させて東電に賠償させるスキームなので,「値上げしない」という選択肢は当初からなかったはずである。
確かに税金も他の電力会社からもお金が出ていくが,賠償責任は第一義的に東電にある,「限界まで企業努力しろ」というのが現行スキームだ。
その場合,企業努力には経営者報酬削減もあれば,社員の賃下げ,原発再開や電力力金引上げもある。
国が東電に賠償を続けることを求める以上,東電が利益を追求することを拒むことは出来ない相談である。
初めから税金なら精算スキーム=国が賠償の主体となるべきだった(企業存続を認めるべきではなかった)。もちろん,その場合も電力事業自体は新会社が続ける。
なぜ精算スキームを選ばず,東電を存続させその東電に賠償させることを選択したのかについては政治的思惑を感じなくはないが,
少なくともスキーム選択の時点で,電気料金の継続的値上げは予想できたはずである。
値上げシナリオは,今回発覚した経産省の4月作成資料にはじめて書かれたのではなく,賠償スキームのなかに発見すべきであったのではなかろうか。
0 件のコメント:
コメントを投稿