パートタイム労働者への厚生年金適用拡大は,65歳から受給する年金を厚くする(国民遠近加入では1階の基礎年金部分のみ,厚生年金には報酬比例の2階部分がある)意味でも,保険料を労使折半すると同時に源泉徴収され未納を防ぐという意味でも重要である。
現政権は大幅な適用拡大を目指していたはずであるが,例の増税にまつわる三党合意の中でそのもくろみもしぼんでいった。
パートタイム労働者への厚生年金適用拡大は安倍内閣でも法案化されたが,成立の憂き目を見ずに終わった。
今回の適用拡大もほぼ同じような手順を踏むので,それを元に説明する。
すなわち,週労働時間をフルタイムの4分の3,おおよそ30時間から雇用保険並みの2分の1,おおよそ20時間に下げると同時に,賃金月額で枠をはめる。
現行制度(左図)の青色部分のパートタイム労働者が安倍内閣案(右図)では,雇用見込み期間1年以上,賃金月額9.8万円以上の条件(現行と同じ)および激変緩和措置として従業員300人以上の事務所免除すると,破線枠の10-20万人が適用拡大されることになっていた。
三党合意による適用拡大案は,新聞報道によれば,賃金月額を7.8万円に引き下げる一方,激変緩和措置としては従業員500人以上とする。しかし,これではせいぜい45万人の適用拡大に留まる。
やはり厚生年金適用拡大によって新たに保険料負担が生じる事業主に配慮した結果であろうが,
適用拡大自体は将来のことを考えると切実である。
激変緩和が一時的措置であることを願うばかりである。
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