X高は地域一の進学校だった。
しかし,少子化により4クラスが3クラスに減った。
しかも,成績のよい生徒が県庁所在地の公立高校に通うようになり,
進学実績が顕著に低下した。
「理高文低」とか「就職に有利な保健,福祉系に受験生が集中」と言われるが,全体の傾向を規定しているのは数の多い首都圏における変化だ。田舎ではそんな新しい職種がたくさんあるわけではない。
こちらでは昔から「手に職を持て」と言われているそのままで新たな変化はない。
Y高の生徒は学力的には国立大学の一般入試には受からない。推薦入試狙いだ。もっともそれも難しいが…
決してうちに生徒が入学した後に国立大学に授業について行けない訳ではいない。
しかし,総合学科のため,2年生の半ばになって進学意欲に目覚めても,それまでに受けたカリキュラムでは進学校の生徒との学力競争には太刀打ちできない。
そもそも親に子供を進学させようという意識がない。高卒で地元企業に100%就職でき,公務員にもなれる状況では「大学に進学させて子供の可能性を広げてやろう」とまで考えない。進学校では子供が進路を決めかねていると「まず大学に進学してから考えろ」となるが,それがない。
もちろん経済的理由もある。しかし,奨学金制度がありますよ,と説明しても「どうやって返すのか」。お子さんが就職してからの,いわば出世払いですよと説いても理解してもらえない。親の考えが子の考え方となる。
学校の統廃合や中高一貫教育などは,
東大に進学するまで公立学校で過ごした先生が考案している。
地域の,公立校の事情に疎い人が統廃合や中高一貫教育など考案しているために都市との格差はますます広がっていく。
地方国立大学には入試定員に地域枠があっても良いのではないか?
東京大学出身でもないし,小中高とも田舎の公立学校に通っていたために,さらに私学には勤めたことがないために,都市部との,あるいは私学との違いはよくわからない。
しかし,昨9月11日の高校訪問ではデジカメに写した風景とは異なる声を同行した同僚,指摘のあった私立学校-東大コースの若手教員ともども印象深く聴いた。
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