前期専門科目の授業評価結果が後期開講して1ヶ月以上経った11月8日ようやく届いた。
評点の報は年度によって母集団が違うので多少の上下動なら余り気にする必要がないだろう。
また,コメント(自由記述)をみると,例によって相反する意見が並んでいて「どうすりゃいいの」がしばしばである。
しかし,今年度は考えさせられることが多々あった。
「地域社会論」は,ちょうど当日,学部社会連携促進部会宛に今年度の実施報告を作成していたところだ。毎回の講義で「テーマ適合性」「関心充足性」を5段階評価してもらっており,どの講師の話もテーマから大きくずれたり,学生の関心からまたずれたりしているわけではない,ということがわかっている。したがって,来年度の講義題目は,今年度と同様,全体のバランスをとりながら,一部ローテーションで変更していけば良い。
他方,やはり私語が多くうるさいという指摘が多かった。
これに対しては,出欠は学生証カードリーダーで,講義の要約,感想等のコメントはオンラインでと分けているため,学生は学生証読み込みが終われば,退出したり,その時だけ闖入したりするため,教室全体が落ち着かないことが大きいと考えられるので,コメントもその場で提出を求めうようにしたい。
「市場と組織」は,アンケート数が少なく,コメントを記したものも少なかったが,「生活保護とベーシック・インカムとの対置が興味深かった」とのコメントがあった。ただ,同科目は昨年度くらい意識的に教養科目化したこともあり,焦点が曖昧になっている。
同科目は,数年前までは,内部労働市場に係わって知的熟練論をめぐる議論に特化していたが,余りに専門的に過ぎたのか聴講者が数名という状態だった。そのため,一昨年度くらいまで数年は能力主義や成果主義などが賃金制度や昇進・異動システムを詳しく解説することで内部労働市場の具体像を伝えようとしてきた。ただ,成果主義が話題に上らなくなった世間を反映したのか,年度を下るに従って,学生も日本の複雑な賃金制度の話には関心を抱けないようだった。
そこで,一昨年度くらいから年金,雇用保険,生活保護等セイフティ・ネットを題材に正社員と非正規雇用を対置させ,内部労働市場の現状を浮かび上がらせようとしたのだが,前半の賃金制度や知的熟練論とテーマが二分した感じになっているので,来年度に向けては後半のセイフティ・ネット,正規雇用,非正規雇用の問題にテーマを絞ろうと考えている。
「経済原論」については,コメントは例年とさほど変わらない。
全く反省していないのではないかと言われると困るが,話し方,話の運び方は容易に変わらないのかもしれない。
昨年度までも指摘されていたものの,今回気になったコメントは「授業に出ていなくても単位が取れる」というのもの。
講義内容や講義で用いた新聞記事等について学期中に4,5回オンラインで読み取りを行い,それにかなりの点を割いてきたからだ。
オンラインテストだから,同じくオンラインで得られる講義資料だけでも,ある程度の点は取れる仕組みだ。
ここ数年来,小テストやオンラインテストに配点の多くを割いてきたのは,期末テストの実施に疑問を抱いたからである。
ずっと論述式の期末テストを実施してきたものの,こちらの期待に比べ結果が芳しくないため,「普段の勉強が重要」と平素の確認テスト重視に切り替えたわけである。
しかし,最近の「大学生の学力保障」「厳格な成績評価」という世間の関心からいうと,少し旧に復した方が良いかもしれない。
2年生ゼミ「専門基礎演習」は学期中から「うまくいっていない」という感じがした。
テキストの報告の後,感想を言い合えば,それで終わり,という風で
90分はおろか60分保つか保たないかの状態だった。
レジュメや司会者について授業後にオンラインでコメントを記させると(翌週冒頭で紹介),的確なコメント助言が並ぶ。
しかし,実際のゼミには余り反映されない。
アンケートの自由記述を読むと,一様に教師の介入を求めているようだ。例えば,「90分学生に任せるのは難しい」と。
しかし,他方で「最後は講義のようになった」とこちらのコメントや解説を倦むようコメントもあった。
報告に大して細かく湖面tのしたことを指すようだ。
両方を充たすには教員側が相当の準備を費やし,舞台回しを演じなければならない。
「それでゼミと言えるか」という疑問も生じるが,
主体性や積極性は自ずと生長するわけではない,ということであろう。
具体的なことは未だ固まっていないが,半年掛けていろいろ検討する余地がある。
アンケートを読んで一様に感じたのは,実は以上述べたこととは別にあるが,上手く整理できない面もあるので,今回は記さない。
0 件のコメント:
コメントを投稿