今週初め再び円安,株高に触れたが,
先週末は,米FRBが予告する量的金融緩和縮小への懸念,及び週末公表された米雇用統計への受け止め方から
米ダウ下落=日経下落,ドル安円高に大きく振れた。
これを一時的な調整局面と見る向きもある。
確かに株価の動きは実態をそのまま反映するわけではないから,以後も反発の可能性は否定できない。
しかし,やはり先頃発表されたアベノミクス「第3の矢」成長戦略のインパクト不足からすると,
市場はやはり先行き不安になったのではないだろうか。
例えば,農業所得10年で倍増と謳っても,農業法人の拡大には熱心でない。
大規模化と齟齬を来すはずの減反(の廃止)は原案にも盛られてなかったようだ。
混合診療も脱落した。
発送電分離の時期は曖昧なままだ。
もちろん,これらに全面賛成するわけではない。
例えば,農業再生が,中山間地の多い日本では,大規模化だけで進むはずがない。
国土ないし環境保全という意味でも,一定の保護は必要であろう。
商業ベースで拡大する部分と採算ラインを切っても保護すべき部分を組み合わせるほかない。
それは所得倍増という目標だけアピールしようとするから疑問,不審を掻き立てることになる。
成長戦略がパッとしない,ということは,
アベノミクスには,市場に成長を促す仕掛けはない,ということではないか。
最初の「二本の矢」,大胆な金融緩和と財政出動は経済が軌道に乗るまでの一時的施策にすぎない(そうでなければ「大きい政府」化)。
政府,日銀が緩和する,財政出動するのは易しい。
与党内がまとまっている限り実施できるからだ。
しかし,それはあくまで景気の「読み水」あるいは「時間を買う政策」に過ぎない。
そもそも,白川日銀総裁時代から国内にカネは余っていた。
企業が国内市場を投資先として魅力ないし展望を感じていなかったに過ぎない。
したがって,いくら金融緩和を「異次元」レベルに高めようとも,
企業が国内に有利な投資先,市場を見出さない限り,
「利益が上がっても海外投資」の流れは止みそうにはない。
結局,アベノミクスとは,輸出関連企業の為替差益と株式相場浮上による一時的活況,第1幕で終わりかねない状況にある。
---補足---
競争力会議「成長戦略」骨抜きに 楽天・三木谷社長に聞く(日経13/06/12)
――産業競争力会議に点数を付けると。
「総じて言えば75点。最大の成果は環太平洋経済連携協定(TPP)の交渉参加を側面支援したこと。
規制緩和も道筋は示せた。あとは安倍首相、菅義偉官房長官らの実行力にかかっている。
既得権益を守る人々に阻まれて総論賛成、各論反対になったのでは0点だ」
「様々な議論をしたが、結局、官僚のシナリオ通りになった。
安倍首相には今後も期待するが、今回は変革を拒む抵抗勢力の頑強さを痛感した」
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