最近の報道をみると
「GDP年率0.4%減 マイナス幅は縮小 10~12月期」(2月14日朝日夕刊)
「追加緩和は見送り、景気判断を上方修正 日銀「下げ止まりつつある」」(同日同紙朝刊)
「楽天、スマホ効果 最高益 」(2月15日日経朝刊)
「京セラ、スマホ部品の新工場 ---半導体基板、150億円投じ京都に」(同上)
「東燃ゼネ、5年で1300億円投資 精製能力削減を発表」(同上)
「NEC、家庭用蓄電システムの生産能力倍増 13年度中」(同上)
「UCC、コーヒー飲料100億円投資---ボトル入り、生産能力5割増」(同上)
もちろん他方で
「新日鉄住金、今期経常益7割減 600億円---アジア市況悪化」(同上)
というケースもあるが,
「新工場」への設備投資とか「生産能力倍増」投資は景気の先行きに自信を持っている証拠であろう。
こうして徐々に景気回復してゆくのは,もちろん好ましいことであるが,
その基盤がアベノミクスによる金融緩和を「期待した」円安・株高や今年度補正予算案+来年度本予算案による公共事業拡張であるとすれば,先行きに不安が残る。
言うまでもなく円安が一方的に続くとは思われないし,公共事業増発もいつまでも続けられない。
後者は財政事情から明らかであるが,
前者についても,円安が続けば輸入物価が上昇し,庶民生活が圧迫するほか,中間財を海外子会社に輸出している企業の収益も圧迫する。
あるいはその前に,今週末ロシアで開かれるG20において通貨安政策を取らない方向で合意がなされれば(「通貨安政策の自粛、G20で確認へ 共同声明原案」2月14日アサヒコム),大胆な金融緩和の方策の一つとして想定されていた「官民ファンドによる外債購入」は実現できなくなり,アベノミクスへの期待が一挙に萎む虞もある。
アベノミクスで最後に頼れるのは成長戦略ということになるが,
その中核である規制緩和は与党の圧力団体の抵抗もあり,直ちには実現できないだろう。
となると,今年に限れば,秋の増税実施判断へ向けて公共事業増発に偏った景気拡幅割くが着々と進められることになりかねない。
(以上は先月執筆した「経済指標の解説」とほぼ同様の見通しであるが,G20における通貨安政策自粛の合意予想によってより公共事業頼みが一層強まった感がある)
補足;今朝(21/15)日経の社説「景気の本格回復へ中身の濃い成長戦略を」では,事業規模20兆円を超える政府の緊急経済対策および14年度からの消費増税を控え駆け込み需要により,「13年度の実質成長率は2%程度に高まるとの予測が多い」と伝えている。
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