2018年2月22日木曜日

空所と穴埋め

 最近,校正作業が続いている。
 紀要原稿は,1月中旬から,初校,再校,三校と繰り返し,先週初めようやく終えた。
 研究年報は,1月末から初校が始まり,今週再校が届いた。
 元々は昨年度のうちに書き上げようとしていた労働ないし労働組織の多様性に関する論文が,検討しているうちに,扱う論者の「労働組織の多態性」論を検討する前に,その前提となる論者の方法論を論じる必要があると考え,10月初め締切りの大学の紀要,社会科学編と11月末〆切の学部年報に分けて投稿した。

 ほぼ1年係で仕上げたものの,どちらも執筆自体が夏休み開始から,あるいは前稿投稿から2カ月しか時間的余裕がなく,文章の練りが足りなかった。特に研究年報は構成を練る時間が足りなかった。
 投稿から2カ月以上立って読み直してみると,説明が足りない,あるいはそもそも詰めが足りないなど種々粗が見つかった。
 しかも校正の度にである。

 校正に至って大きな構成上の変化を加えるわけにはゆかないので,所定の展開,流れの中で飛躍している部分を埋めるしかない。

 なんと詰めが甘いのだ,と冷や汗が出る。
 同時に,足りない部分の発見は,次の論文の課題になる,といっては言い訳だろうか。
 
 
 

10年の成果?

 宮城学院女子大学生活文化デザイン学科からペーパーウェイトとコロンバスのクッキーが届いた。

 担当していた経済社会特論が,16年度現代ビジネス学部創設を中心とした改組の影響で,今年度限りとなった(3年生科目なので来年度からは開講されない)。

 後期だけ通ってちょうど10年になる。
 同学科では数少ない経済学教養科目の1つとして,15回で何を教えれば良いのか試行錯誤の10年だった。

 同大学の田中史郎先生にはお世話になりました。(2月16日)



2018年2月10日土曜日

迷っているはなし

 昨秋投稿した大学の紀要,年報の校正が,年が明けてから戻ってきた。
 1つは,査読意見に応じる過程で見直し,また初校でも丁寧に文章を点検したつもりだったので,再校は簡単なチェックで返却した。

  ところが,先週末戻ってきた三校,最終校を読み返してみると,
・叙述が重複している
・結論Bの説明が足りない
ことに気付いた。

 前者は,見ようによっては展開が蛇行しているように映り、推敲不足が露呈し,みっともない。しかし,展開まで見直すとページ進行が大きく変わり,後ろの掲載者に迷惑を掛ける。最小限の訂正に止め,重複したくどい表現には我慢して貰うしかない。

 後者は,これも推敲不足と言ってしまえばその通りだが,今のままではその意図が十分伝わらない。かといって,丁寧な説明を加えると,やはりページ進行を乱してしまい,他に迷惑を掛けてしまう。
 そこで,文章を補うとしても,最小限に切り詰める必要がある。
 さらにその前に,説明として難点不足しているか確定する必要がある。
 論理展開上,多少の無理があることは自分でも気になっていたが,補う必要のあるポイント,説明については,このままで良いのか,そもそも何点に分けて補足すべきか迷いがあった。

 今日一日で,補足を1つに絞り,一文に収まる補足を考えたが,三連休のうちに,簡潔でかつ不足を補える説明を練る必要がある。

2018年2月6日火曜日

まとめ

 連合山形の『春闘パフレット』に毎年「経済指標の解説」を寄稿している。
 今月分は既に先月末に投稿した。以下はそのまとめ部分だ。

◇まとめ

以上、全国経済および本県経済に係わる諸指標を追ってみた。
 政府も県も景気回復を自信気に宣言し、主要企業アンケートでも来年後半まで景気回復が続くとの予想が多い。
 しかし、消費者サイドに立つとその実感が伴わないとの指摘は多い。例えば、1月5日付日経は、4月の日銀総裁人事、6月の財政健全化計画の改定を前にして「6年目に入った安倍晋三首相の経済政策、アベノミクスは今年、最大の正念場を迎える」とし、「物価は伸び悩み、デフレ脱却を宣言するには至っていない。実質賃金も増えず、景気拡大に実感が伴わない一因になっており、アベノミクスの急所となっている」と指摘している。
 物価が伸び悩み、かといって実質賃金が増える程の賃上げが起きないのは、企業が国内投資に限界を感じているからであり、消費者も社会保障等将来不安により財布の紐を緩められないからである。
 日本では、人口減少による国内市場縮小が懸念され、人口減少による国内市場縮小予測が先に立ち、海外企業の買収には熱心でも、国内投資はせいぜい市場の維持と人手不足対応の省力化投資に止めている。企業の内部留保の累増がその証左である。
 他方で、1995年の0.7%を底に保護率が上がり続けた生活保護は、半分超が高齢者世帯であり、さらにその9割が高齢単身世帯である。将来は「下流老人」という不安が払拭されない限り、少々の賃上げでは財布の紐が緩むことはない。景気回復への自信が覗く国や県の月例経済報告でも唯一、個人消費が弱気の表現になっている所以である。
 安倍政権では、首相の音頭取りもあって賃上げが続いているものの、賃上げ幅は、2015年をピークに年々縮小している。昨夏、経団連加盟企業ではボーナスが前年割れした。
 より一層の賃上げ、そして国内市場の充実を図るには、長時間労働を見直し、余暇時間を確保したうえで、社会保障制度改革によって将来不安を払拭し、国内で消費される保育やケアなどの市場を膨らませることであろう。
 プライマリーバランス達成を目標とする安倍政権は、医療報酬・薬価基準、あるいは介護報酬、生活扶助費の見直しによって、社会保障予算の自然増を年5千億円に抑える計画を立てている。しかし、パッチワーク的な改革で社会保障に対する将来不安を払拭するのは難しく、個別費目の引き下げは社会保障収縮をイメージさせ、むしろ不安を増幅させる。低所得者向けに最低保証年金を創設するなど根本的な改革が望まれる。

2018年2月5日月曜日

生きにくい時代

 投稿していないなぁ,そろそろと思っているうちに1カ月も空いた。
 紀要原稿の校正,学期末の講義資料作成,年報原稿の校正と紀要の第2校,期末試験の採点に追われていた。

 この間,起きたことについて投稿しようとしたが間延びしてしまった。
 特に西部邁氏の死去については,その論稿をさほど熱心に読んでいたわけではないが,保守派の代表的論客と思っていただけに,驚き,戸惑った。(ご冥福をお祈りいたします。)
 安倍内閣が高支持率を維持したり,早紀の総選挙では「リベラル派排除」が民進党から希望の党への組み替えの旗印になるなど,保守勢力の伸長が著しいように見える。しかし,安倍一強の中で信条の強固さや層として厚みは感じられない。

 安倍・プーチン首脳会談を計17回もこなした北方領土交渉は,これまでの政権が拒否していた(領土のロシア主権を是認する)共同経済活動締結で終わった。
 安倍首相が意気込む改憲の案も,憲法9条2項(戦力不所持)は残したまま,第3項で自衛隊を明記するレベルだ。
 社会保障予算見直しの中で,教育無償化など従来リベラルが主張していた政策が前面に押し出されている。
 待機児童解消論も,女性の社会進出を前提にいしているが,従来,家庭生活に重きを置いていた与党内でその是非を問うているようには見えない。

 安倍一強は続き,野党は分裂し政権奪取の目処は付いていないにもかかわらず,政権の繰り出す施策は,必ずしも保守的とは言えず,むしろその時々の国民の要求に反応しているだけで,政権の維持が自己目的化ているように見える。

 西尾幹二『保守の真贋』が吐露しているように,「保守期待の星」である安倍晋三氏が首相に返り咲いて,保守の運動はかえって停滞した。

 以上は保守だが,
 世間的に排除され気味な改革派も,「リベラル」と一緒くたにされては堪ったものではないであろう。
 それぞれが何が正しいかを思索し,時には強調しつつ,考えを深めてきたのに,その考え,スタンスの特徴には関心がもたれないのでは。

思想的に純粋であろうとするには,生きにくい時代になったのではないか。