2015年11月7日土曜日

就業形態と雇用形態

11月5日厚労省よりl『就業形態の多様化に関する総合実態調査』平成26年版が発表され,翌日の新聞には「非正社員、初の4割 人件費抑制、背景に」(朝日),「非正社員「不本意」は減少 14年、厚労省調査」(日経)という見出しが躍った。

記事は「非正社員を雇う理由として一番多かったのが「賃金節約」で」「人件費を抑えたい企業が非正社員で労働力を補っている実態が浮き彫りになった」(朝日),「非正規社員を選んだ理由は「自分の都合のよい時間に働ける」という回答が4割近くで最も多かった。雇用環境の改善で、不本意ながら非正規社員を選んだという回答は4.4ポイント減り、18.1%だった」(日経)と解説している。

事業所が「非正社員を雇う理由として一番多かったのが「賃金節約」」というのは間違いないが,その回答の率は前回,平成22年調査よりむしろ減っており,今回増えたのは「即戦力を求めて」や「正社員を確保できないため」であった。
もちろん,正社員が賃上げしたから確保できなかったという意味では賃金節約が主要因であろうが,報道としては正確ではない。


また,当の本人が非正規として働く理由として,「「自分の都合のよい時間に働ける」という回答が..最も多かった」のは間違いないが,その比率は前回に比し若干落ちている。増えたのは「専門的な資格を活かせるから」や「家庭の事情と両立しやすいから」であった。
さらに重要なのは,同じ非正規でも雇用形態によって主な就労理由が異なる,ということである。
パートタイム労働者は,「自分の都合のよい時間に働ける」がトップ,次いで「家計の補助を得たいから」「家庭の事情と両立できるから」であった。
これに対して,契約社員は,「専門的な資格を活かせるから」,「正社員として働ける会社がなかったから」の順であった。
派遣労働者になると,「正社員として働ける会社がなかったから」がトップである。


就業形態と言えば,雇用者,自営業者,家族従業員であるが,既に70年代には雇用者が7割を超え,今や9割が雇用者である。
そして,雇用者の,雇用形態で言えば,2002年くらいから非正規雇用が3割を超え,今や4割に達している。
だからこそ,パートタイム労働者,派遣社員,契約社員等,雇用形態別の分析が重要になっているのではないか。

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