2015年11月7日土曜日

過去の木鐸

昨6日の日経新聞電子版に「アベノミクス,最後の賭けは内部留保350兆円」という解説記事が載った。

郵政3社の上場を済ませ,「日銀,年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF),地方公務員共済組合連合会,かんぽ,ゆうちょの「5頭の鯨」がアベノミクスの官製相場を支える構図がほぼ完成した形だ」。

だが,先行き楽観はできない。実質成長率は14年度マイナス0.9%,今年も4~6月期はマイナス1.2%だった。「そこで安倍政権が躍起となっているのが,企業が抱え込んでいる内部留保の吐き出し」であり,「カギを握るのは,政府が検討している「法人実効税率20%台への早期引き下げ」のカードをどう生かすか,だ」。

記事は最後に,規制緩和と並ぶ「アベノミクスのもう一つの柱である日銀の異次元緩和は,日銀が銀行などから国債を買い上げても資金が日銀に還流し,日銀内の銀行の当座預金が積み上がるばかり。当初のもくろみのように,市中にお金が出回りインフレになる構図は実現していない。企業の内部留保をどう取り崩すかが,アベノミクスの最後の賭けになるかもしれない」と結んでいる。

法人税を現在したからと言って,さらに現在計画を前倒ししたからと言って,賃上げと同様,企業の判断である内部留保の吐き出しがすんなり進むとは思えない。
記事も「政府・与党内には高収益でも投資を拡大しなかった企業への不信は強く,一律法人減税への反対論もある」と指摘している。

記事は「官製相場」の存在を指摘し,異次元金融緩和が「市中にお金が出回りインフレになる構図は実現していない」と辛らつな批判をしていながら,また円安等による企業利潤の拡大が投資拡大に結びついていないことを認めながら,「法人減税とセットで」という見出しを付け,「カギを握るのは,政府が検討している「法人実効税率20%台への早期引き下げ」のカードをどう生かすか,だ」とあたかも法人税減税が投資拡大の前提であるかのような論調を張るのは矛盾していないだろうか。

既に結果が出た政策は批判できても,現在の政策主張を批判できないのでは「社会の木鐸」の役割を果たせないであろう。

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