結局,日曜日はスタバ行脚。夜になってようやく少し進捗。
しかし,晴れ間が見えたと油断したのか,週明けから停滞。
21日は,検査が必要になった母を行きつけの病院に連れて行き,紹介状を貰って別の大病院へ。
その間,待合室で,当日締め切りの「春闘パンフレット」「経済指標の解説」の項を編集。
各種官庁報告書を閲覧して個別指標をチェックする部分は既に埋めていたので,
個別指標の提示を受けて最後に分析する総括部分(下記「消費増税を乗り越えてゆくために」)を編集。
これも書き殴り調で文章にしていたので,あとは文章を繋げるだけ思ったら,意外に難渋。
例年に比し長くなった。
結局,アベノミクス批判と,消費税増税の意味,と言いたいことが2つあったからだ。
また当然だが,最後に引用データ,数値の原典チェックが必要だったので,丸一日仕事になった。
これでようやく月末締め切り仕事に専念,したい。
◇消費税増税を乗り越えてゆくために
冒頭に記したように、景気回復のニュースには事欠かない。しかしながら、個別指標を丹念に見ると、回復基調は昨年から続いていた。例えば、四半期毎の企業収益は既に2012年1-3月期から前年同期比プラスに転じていたし(図3)、2011年夏の欧州金融危機を承けて4.5%に止まっていた失業率も2012年4月から緩やかな下降曲線を描いている(図4)。
また,地域や階層によるバラツキも大きい。前述のように、日銀さくらレポートでは、東北は自動車産業の集積のある東海と共に「回復」という最も強い表現が用いられている地域ではあるが、生活面を見ると、例えば、百貨店の売上高は全国的には2年連続増となったものの、「東京や大阪など十大都市は売上高が3.0%増えた一方、地方は..1.0%減となった」(朝日新聞1月18日付け)。都市部は品揃えが豊富なうえに、訪日外国人増加の恩恵も受けやすい反面、地方は品揃えも芳しくなく、郊外店やショッピングセンターとの競争も激しい。また、品目別でも「高級腕時計を含む「美術・宝飾・貴金属」が前年比15.5%増のほか、海外高級ブランドが多い「靴やバッグなど」も5.0%増と好調だった。ただ、売上高の3割強を占める衣料品は0.2%増、3割弱の食料品も横ばいで、ともに伸び悩んだ」(同紙)。株価上昇の恩恵を受けて高級品に手を出した層と、恩恵を受けずに堅実な生活を続ける層にハッキリ分かれていることが見て取れよう。
このように、アベノミクスは、現在のところ、第2の矢「公共事業の増発」で地方経済が底支えさえされている面はあるが、専ら第1の矢「大胆な金融緩和」が円安-輸出産業の増益-株価上昇というサイクルをもたらし,株式投資の可能な富裕層の所得を底上げし、高級品・高額品の売上を拡大させているものの、雇用や賃金への波及効果はまだ弱いため、庶民の生活には好況感が伴わず、灯油や小麦粉の値上げなど、円安による生活物資の価格上昇ばかり感じられる状況である。
このような状況下,目先に迫っている4月からの消費税増税について、財界を中心に楽観論が蔓延している。朝日新聞が新春財界賀詞交換会で今年の景気を占って貰ったところ「大半が明るさを示す『晴れ』を含む答えだった」。田中孝司KDDI社長は「『景気が悪くなる要素があまりない。底堅く、これで雨という人はいないだろう』と言い切った」。強気の背景には円安傾向継続との見方がある。気に掛かる消費税増税による落ち込みに対しても「多くは影響は限定的との見方だ」。駆け込み需要の「予想される販売の反動減は3カ月くらいで回復するのではないか」(豊田章男トヨタ自動車社長)との見方が一般的であった(朝日1月8日付け)。
しかし、こうした楽観論は円安持続予想に支えられてのことである。確かに円安は輸出産業には恩恵が大きいが、輸入品が昂騰し加工産業や生活を苦しめる面がある。また、為替や株価の動向はアメリカ経済や新興国経済の先行き予想で不安定に上下動する局面にあることは前述の通りである。
では、第3の矢「成長戦略」はどうか。第1、第2の矢の効果が剥落してしまえば、否応なしに日本経済独自の成長像の提示が求められる。
1月20日の産業競争力会議では6月にまとめる予定の新成長戦略から解雇規制の緩和(解雇無効判決が下りた際、職場に戻る代わりに金銭を受け取る「解雇の金銭解決」の創設)は検討課題から抜け落ちた。ホワイトカラー・エグゼプションは政府内に慎重意見根強いとされながらまだ残っている。代わりに、労働力人口の増加につながる施策とし、「学童保育」の拡大。配偶者控除など税制の再点検が検討課題に挙げられている(日経及び朝日1月21日付け)。『労働力調査』によれば、子育て期、35~44歳の女性の労働力率が、2013年1~11月の平均で12年より1.6ポイント上昇し、71.3%となった。この年齢層で70%を超すのは初めてである。働く女性が増えると、中長期的な経済成長率の底上げにつながる(日経1月20日付け)。世帯の可処分所得が増えれば、消費も増えるからだ。働く女性への配慮は推し進められて当然であろう。
他方で、経済諮問会議では法人実効税率の引き下げが議題となっている。「安倍晋三首相は減税の当面の財源確保にはこだわらない考えを示唆」「民間議員も..税率を2014年度より10%低い25%程度にすべきだと踏み込んだ」。14年度予算では「法人税1%当たりの税収は4700億円。10%分なら約5兆円、国の税収全体(約50兆円)の1割が減る」(日経1月21日付け)。他方で、昨年10月8日内閣府が明らかにしたところによると、4月からの消費税税率アップによる税収増見込みも5.1兆円である(引上げ幅3%は8.1兆円の税収増に相当するものの,初年度は納税の遅れや消費の落ち込みなどが考慮されている。日経10月8日付け)。民間議員が要求する法人税減税では増税分が吹き飛ぶ。
何のための増税だったのであろうか。背景をもう一度確認すべきであろう。単純な財政再建ではない。累積債務が855兆円に上ろうとする時、3%の税率アップ=年8兆円の消費税収増だけでは債務解消は果たせないことは火を見るより明らかだ。ここ20年来、日本の課題は決して累積債務の解消ではなかった。景気を回復させようにも、その年度の歳入で、歳出の内、国債費を除く政策的経費と地方交付税さえも賄えなければ、積極的政策を打てない、という課題を抱えていた。すなわち、プライマリー・バランス(PB)の達成が経済財政上の課題であった。安倍首相も1期目は、社会保障費の自然増分年2千億円を削減し、2012年度までPBを達成しようとしていた(「骨太の方針2006」)。しかし、折からの労働市場の規制緩和もあり、生活保護の母子加算廃止など、セーフティ・ネットの縮小・削減では格差拡大を加速するだけであった。07年参院選挙惨敗によりそのことが骨身に滲みた旧自公政権は、格差是正に舵を切り、第1次安倍政権の「再チャレンジ」を経て08-09年の麻生政権「安心社会実現会議」では、「骨太の方針」を棚上げし、「中福祉中負担」を標榜することになった。そのため自民党は09年総選挙以来、一貫して消費税増税を掲げている。他方、民主党を中心とする連立政権も、当初は埋蔵金供出や事業仕分けを通じて高速道路無料化や子ども手当創設の財源を確保しようとしていたが、やがて細かな改善の積み上げではなく、確かな財源確保が必要という認識に転換し、「税と社会保障の一体改革」会議で消費税増税と高齢者寄りの給付をそれ以下の層にも広げることを打ち出した。この流れは、10年参院選挙惨敗、ネジレ国会等紆余曲折を経て、「三党合意」による税法改正に至った(使途は既に2009年度より実施されている基礎年金への国庫負担金1/3から1/2への引上げの原資、子育て支援、低所得者の国保保険料軽減等)。「安心社会実現会議」以降、言わば「福祉のための増税」が、自公、民主を問わず謳われるようになったのは、「骨太の方針2006」のような福祉切り詰めによるPB達成は困難であること、むしろ持続可能な社会保障体制の構築こそ貯蓄過多、消費・投資不足から国内経済を解放し、真に豊かな国内市場、内需を形成するという認識があってこそであろう
。
このような20年に亘る日本経済の課題を振り返れば、消費税増税による景気の一時的落ち込みに対し、一時的経済対策としても増税分5兆円を注ぎ込むとか、況んや法人税恒久減税で増税を打ち消すことは本末転倒であろう。
企業の収益改善はアベノミクス以前から続いているのであり、にもかからず企業は内部留保を蓄積させていた。海外投資の流れは、この間の持続した円高基調ばかりが原因ではない。経済が低迷していた先進国が経済成長を続ける新興国経済に一様に依存してきたからである。『法人企業統計』13年7-9月期で確認したように、経常利益は前年同期比24.1%増えているのに、設備投資額は1.5%増に止まっていた(人件費は5.0%減)。つまり、国内投資を促すには、金融緩和や法人税減税による手元資金の確保ではなく、国内市場の成長可能性を示すことである。
そのためには、社会保障の将来や雇用の継続に対する不安が晴れ、各々がしっかりとした将来設計に従って消費生活を繰り広げられるようにすることであろう。
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