2014年1月10日金曜日

助け合いのなかの損得

 1月9日 宮城学院女子大学「経済社会特論」は試験前の最終回。非正規雇用。定義,種類,内訳を踏まえて,増大の影響(若年層の雇用不安,少子化),増大の直接的契機(派遣法成立と改正)とより深い背景(内部労働市場の成立,日本固有の賃金格差(「家計補助的労働」としての扱い))まで説くと24スライドになった。図表ページが多いとは言え,自分の標準(12-18スライド)から言えば多すぎる。しかし,後半の影響や原因,背景に触れないと,大学で講義する意味がないし,前半も知らない者が多いだろうから触れざるを得ない。実際,非正規雇用の問題についてはセーフティ・ネットのパートで一貫して触れてきた。すなわち,市場では不利な非正規雇用ほどセーフティ・ネット(年金,医療保険,雇用保険)も薄い,ということだ。出題候補を2つ挙げて2週間後23日が期末試験。A3版1枚のみ持ち込み可。
 レスポンスカードに質問「最近,新聞で歯科へのポイント制導入の動きを報じると同時に問題視しています。なぜですか」。帰宅後,期末試験の要領と質問への回答をスライドで作成し,そのPDFファイルを教務課に送信。
 件の問題,1月7日付けの朝日新聞では,1)実質的な値引きは厚労省省令に違反する,2)過当競争による競争力の弱い医院の敗退=地域診療
の崩壊の虞がある,と指摘しているが,そのほかに保険診療には保険や税金,つまり「他人のおカネ」も投入されているなかでの利得は問題ではないか。

 「保険診療」は,全国一律固定料金,保険による費用負担,税金による保険支援を特徴としている。つまり,診療毎に料金が固定されており,本人負担3割以外の7割は保険が費用負担している。さらに,例えば協会けんぽには年度の給付費の13%が国庫(税金)で援助されている。
ポイント制によって,実質値引きされる本人と患者=収入が増える歯科(記事では神奈川県の歯科で新規患者が5割増し)は得になるだろうが,それを支え ている保険(あるいは保険料を払っている被保険者)や納税者は釈然としないのではなかろうか。
 ジェネリック医薬品の利用など,競争によって保険の負担や国庫負担が減るならともかく,規定通り固定料金の7割負担している保険(被保険者),さらに給付の13%を支援している国(納税者)は釈然としないのではないか。彼らのなかにはほとんど病院に掛からない者もいるだろうし,医療費が嵩む子どもやお年寄りが少ない家庭もあるからだ。それでも「みんなで助け合う」という理念の下,強制参加の社会保険で費用を負担し合っている。
 「みんなで助け合う」が理念の社会保険に,診療毎の損得が入ると,一緒に負担している保険者や納税者には「割に合わない」ということになりかねない。


 近所の歯科通院。夕方ジムにて,ステップマシーン25分とマッサージ。「肩も腰もお尻も左半身のほうが凝りが酷いですね」なぜなんだろう。
 前回から半月も経っていないのにマッサージを承けたのは,背中が貼っていた,ということもあるが,

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