2021年8月29日日曜日

頂き物・その2

  SGCIMEの夏季研究会(8月28日-29日,Zoom方式)でも,初日「マルクスのアソシエーション」と題して報告させていただいた。仙台経済学研究での報告以降,論旨を明確にすべく報告スライドに加除修正を加えてきた。

 今回も種々コメントを頂いた。

『資本論』第1部第1章第4節では(資本主義的生産とは区別された)小商品生産が想定されていたのか?

  • 第1章は商品論だからアソシエーション論として限界があるのは当然で,協業論おけるアソシエーション規定,第3部での株式会社論におけるアソシエーション規定も視野に入れるべきでは?
  • 個人的所有の再建というのは、諸個人が生産手段を均等に、まるで生活協同組合のように一人一株で所有するということではないか?
  • 人格的依存関係の自由という問題を考える場合、協業論における管理の必然性という論点がヒントになるところがあるのではないか?
  • 積極説を知りたい。
  • アソシエーションを共同体論として構想しているのか?
  • 価値形成労働をベースにしてアソシエーションを構想しているのか?
 その場でもリプライしたものの,十分答えたとは言えない,むしろ回答としてズレていた面もある。頂いたコメントを参考に執筆に向かいたい。

2021年8月23日月曜日

頂き物

  8月21日 第47回仙台経済学研究会(zoom開催)で「マルクスのアソシエーション論とその枠組み」を報告したところいくつか質問,コメントを頂いた。

 その前にタイトルの「マルクスのアソシエーション論」とは,マルクスが様々な意味で用いたアソシエーション概念の内,「自由人の結合体」(原語はAssoziationではない)を示した『資本論』第1部第1章商品の第4節「商品の物神的性格とその秘密」における議論を指している。

 質問,コメントを類型別に示すと

  • マルクスは小商品生産を念頭に置いているのか?
  • 1857-58年草稿における「人類史の三段階区分」とは別では?(後者も前2段階をそれぞれ人格的依存関係,物象的依存関係と捉えているが,第3段階は第2段階における個人の成立という普遍的側面を踏まえた発展と捉えている)
  • マルクスのアソシエーション論は何を典拠にしているか?
  • ルソーの一般意志との異同は?

 いずれも貴重な指摘である。念頭に置いて研究を進めたい。

2021年8月15日日曜日

概要

 普段,自分が手掛けている論文については触れない。
 構想はしばしば紆余曲折があるので公表しにくい。
 構想は固まると,執筆に取りかかるのでここで紹介する暇がない。
 書き終われば,関心は次の論文に向かい,既に論文に記し,自分の中では確定したことを説明するのは億劫になる。

 しかし,今回は三兎を追う形になっており,途中で投げ出しては困るので,見通し,構想について明らかにしておく。もちろん途中で変わりうるのは先に触れたとおり(構想の変化は進化。恥ずかしいけど)。


仮題取り上げるテーマ論点結論 
五輪後の働き方(学部公開講座,9月)「ジョブ型雇用」「限定正社員」取り上げられる背景唱える者により意図・背景がそれぞれ異なる。しかし,外国人労働者の採用,進まぬ同一労働同一賃金原則の対応等から職務をできるかぎり明確化する必要がある。
剰余価値の形成と労働資本による剰余価値の形成最近の経済原論における(剰余)価値と(剰余)労働の関係づけ剰余価値実体論に偏り,剰余価値形態論が薄い。
背景に労働生産過程の設定あり。
マルクスのアソシエーション論将来社会像としてのアソシエーションの理論的位置付け『資本論』冒頭商品論の「商品の物神的性格とその秘密」における「自由人のアソシエーション」を位置付ける3つの二元論(物象的/人格的依存関係,私的/社会的労働,私的/共同的所有)3つの二元論に齟齬あり。
それぞれ将来社会像に制約を与えている(共同体志向,直接的生産労働者中心主義,生産手段の共有)。
労働生産過程論に先行する労働の社会的位置付けが原因
労働過程論に立脚することに多様かつ多層的な諸労働を視野に入れたアソシエーション論が可能

2021年8月4日水曜日

1つ増えて

 二兎を追うことになって弱ったな,と思っていたら,三兎を追うようになった。

  • 剰余価値と労働
  • マルクスのアソシエーション論
  • 学部公開講座「ジョブ型雇用」

 特に後二者は最初のアイデアより奥行きの深さに改めて困惑したり,時間が2/3に割愛去れ戸惑っている。

 久しぶりの更新だが,内容については後日(学期末の採点,単位評価に時間を食われている)