10月8日経済理論学会第70回大会(東京経済大)の分科会で報告した。
報告が分科会コーディネータ,司会者のY氏より学会誌の大会記録に載せるため報告と質疑の記録提出を求められたが,学会中は報告の疲労と安堵で質問票に目を通していなかったが,大会明けの祝日,早速目を通して記録を作成した。600-700字以内,報告部2/3,質疑1/3程度という制約のためで何度か書き換えた。
本報告は小幡道昭氏が論文「マルクス経済学を組み立てる」で提唱した剰余価値論の余剰論への組み替えを,(1)資本主義における搾取の説き方,(2)価値と労働との関係づけ,(3)経済原論体系への影響の3点に亘って検討し,(1)生活物資(労働力)Btと支出労働量Tとの弾力的関係から余剰(T>Bt)発生を説く普遍的余剰論に止まり,個別資本の行動に即した説明を欠く,(2)価値と労働とは価格・労働時間両タームとも階級単位の集計値で照合されている,(3)流通形態資本による社会的生産の包摂を背景に価値と労働の関係づけがなされるからこそ社会的生産を予定しない流通形態の分析が流通論として『資本論』第1部「資本の生産過程」から分離した。両者の関係づけが流通形態である資本によらずに階級単位で済まされるならば,流通論と生産論の別が維持できない。生産論が階級単位で叙述されたため,同じ個別資本に即しながら労働者に向かうか他の資本家に向かうかという生産論と機構論との位相差も曖昧になっている,と結論した。
コメンテーターE,K1会員,K2会員,司会者Y会員より大要3点質問;1)生産論=代表単数の意味(個別資本や階級単位との違い),2)特別剰余価値概念の意義(機構論の特別利潤概念で十分),3)従来の生産論に止まる,余剰論(労働力の本源的弾力性)の意義は近経や転形論争との関連で評価すべき。答弁;1)単数ではなく競争捨象,2)資本が操作しえない相対的剰余価値に繋ぐ概念,3)生産過程論再構成により労働の多様性を設定しようとしている。
今回報告したことにより,自分と周囲との問題に対する理解の齟齬が第3点、価値と労働の関係づけにあることがよくわかった。
また,2日目昼休み、分科会には参加されていなかったK3先生から第1点について質問を受け,代表単数についてもさらに説明が必要であることもわかった。
これらを念頭にさらに練ってゆきたい。
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