もう1週間以上前になるが,学部,大学院時代の恩師,逢坂充先生より「経済学と労働価値説(後編)」(九州大学『経済学研究』第87巻第1-3合併号)の寄贈を受けた。
添え文に「今回の「後編」をもって終了といたしました」と記されていたのを目にして,失礼ながら急ぎ足で全4編拝読した(前編、中編,続中編はそれぞれ同誌第85巻第2-3号,同第5-6号,第86巻第4号)。
価値形態論に付加価値形態論を対置させ,労働の二重性を商品論と生産過程論の二層で捉える壮大な構想に拡大する間接労働を射程に入れて労働価値説を「新生」させようとする先生の熱い思いを感じた。
僕自身,ちょうどこの度,経済理論学会『季刊経済理論』第57巻第3号に掲載される「労働の同質性の抽出」では,「労働の二重性」を商品論以前に機械的に規定したり,生産過程論以前の労働過程論で演繹的に導出する見解を批判し,生産過程論の意義を宣揚しており,方法論としては逢坂先生とは異なっているが,労働概念を拡張し,こんにち拡大する間接労働を射程に入れようとする点は共通だ。
何より先生が齢を重ねても研究論文を書き続けられている点を尊敬して止まない。
ハガキで礼を述べると同時に,「「終了」と仰らずに書き続けられては如何でしょうか』と記したのは,無神経で礼を失したお節介だろうか。
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