更新が遅れた間も書きたいことはあった。
それは,この間,夏の研究会や秋の全国学会で接した報告で特に関心を抱いたのはオルターナティブ論への違和感だ。
一方で相変わらず国有化論。 他方で自給圏構想。
正直どちらもピンとこない。
彼らがそれらを唱える契機として世界的な格差拡大があるというのは理解できる。
しかし,それを理論的にはどのようなレベルでとは別だ。
目先の格差,貧困,そこから直ちに「労働力商品がその価値以下で売買されている」「労働力の再生産が不可能になった」と言えるのかどうか。
賃金が労働力商品の価値以下とは収奪であって,搾取のように理論化は難しい。
最低水準以下の賃金で苦しんでいる労働者がいるのは確かであり,彼らは一般に非正規雇用である。しかし,非正規雇用のなかでも最低生活水準以下の賃金しか得られない者が一般労働者とはいいがたい。
例えば,働き方改革で問題となった長時間労働や同一労働同一賃金は決して貧困の問題ではない。
過労死に至らなくてもワークライフバランスが取れない,家庭生活がないがしろになる,という問題であろう。
あるいは,非正規雇用即生活できないという問題ではなく,同じような労働をこなしているのに,酬われないという問題であろう。
ところが,最初に貧困と結論づけているために,多くの労働が直面する問題,長時間労働に駆り立てられ家庭生活が犠牲になるとか,職場で言われなく差別的扱いを受けているという問題が視野視野から落ちてしまうのではないか。
懸念されるのは分析,研究の貧困であろう。
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