2017年12月15日金曜日

そうなのかなぁ

 2017年12月15日(金)の朝日新聞朝刊。「(私の視点)無償化と学の独立 問われる大学研究者の質」でフェリス女学院大学教授の高田明典教授は,政府による大学教育への財政支援は,アメとムチ両面があるとして,
「「「ムチ」とは2015年6月の文部科学省通知「国立大学法人等の組織及び業務全般の見直しについて」にみられる方向性を指す。主として人文社会科学系学部の廃止や他領域への転換を求める内容とされ、無償化ともなれば、その方向性は私学を含めた全大学に及ぶだろう。「文系の学問も役に立つ」という反論は、本質をとらえていない。この問題の本質は教員の質であるからだ。」と述べられている。
 その後,文系研究の業績評価に難しい面があるものの,論文の本数からある程度は可能と述べられている。「緩くみても、論文数が年齢から35を減らした数より少なければ、「まともな研究者ではない」「研究はしていない」と考えた方がいい」。
 そして,最後に「学内での「業績審査の厳格化」がなかなか受け入れられがたいのは、それが「不出来な同僚を指弾する」ことになるからであろうが、大学の矜持(きょうじ)が問われる」と結論づけられている。

 そうなのかなぁ。
 業績評価については,高田教授も最初に「もちろん論文の質や、扱う問題の大小や難度こそが重要だが」と留保されているように,単純に本数では計れない問題がある。もちろん,10年15年をとれば,超大作を構想中,途中報告もできないでは済まされないが。。。

 そもそも,政府が推し進めている大学の選抜,選別は教員の研究者としての質を基準にしているのか,根本的に疑問である。

 同日の同紙記事「(検証・2兆円パッケージ)大学に「体質改善」迫る 高等教育無償化8000億円、学生は支援」では,「学生への支援と引き換えに、大学は外部人材の受け入れなどの改革を迫られることになる。背景には「大学は社会のニーズに応えていない」という政府側の不満がある」。
 この場合の「外部人材」とは研究者とは限らない。あるいは研究の質を基準にしていない。いわゆる「地域貢献」「地域振興」の実務型人材であろう。
 もちろん,地域の経済や政治,あるいは社会について真摯な研究を積まれている研究者もいらっしゃる。
 しかし,政府が大学,特に地方大学に求めている「地域貢献」は研究者に限定されていないのではないか。
 地域に関する研究者だけでは全学生を対象にした必修型カリキュラムを組めないからだ。
 勢い専門外の教員を投入したり,研究業績の乏しい外部人材が登用される。

 今の,「ユニバーサル」化した大学が学問ベースの教育だけで良いか,という問題はある。
 また地域に出るフィールドワークが学生の学習動機を刺激する面もある。

 しかし,それを超えて地域学習を量的に拡大する方向で財政誘導されかねないのが,現在,政府が進めようとしている高等教育への財政支援の「ムリ」ではないだろうか。

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