2017年12月31日日曜日

この1年

この1年追ったテーマは,

  • 生産過程論の埋没の影響
  • 労働組織と労働の多様性

であった。

 いずれも生産的労働概念を基軸に資本主義的生産様式における労働の多様性,多様化を分析しようとした前者を補うものであった。

 元々は春までに投稿する予定であったが,それは果たせなかった
 さらに,講義科目を固めている前期の間,検討を続けるうちに一本の論文として論じるのは難しく,
 方法論的な前者と労働組織の多様性を検討する後者の2つに分けることになった。
 実際に筆を執ったのは8月下旬からで,それぞれ2ヶ月ずつ掛けて書き上げたものの,後者は結論部分になお曖昧な部分が残っている。今にして思えば,練り方が不足していた。
 しかし,その結論部分,すなわち多様性は労働組織よりも労働,また労働の多様性といっても調整労働のようなヨコの連結に際し重要なものもあれば,技術革新に伴い新たな発生もあいうる,を踏まえて,次に賃金制度の多様性へと分析を進める予定。

 こうした研究は,検討対象となる論稿に少し惹き引き摺られすぎた面も含める。
 また,現実経済との関連性も見えにくい。

 しかし,理論的な検討の意義はむしろ資本主義的生産様式の内容理解を豊富にして,現状分析,政策判断の足しにすることにある。
 来年も同様の試みを続けるほかない。

2017年12月30日土曜日

振り返って

馬見ヶ崎川(12月12日)
最近は学内のことを公にしにくくなり,他方でFacebookのように簡単に近況報告できる術が広まって,ブログの更新は滞ってしまった。
キャンパスの銀杏並木(12月12日)

厚生会館前中庭(12月12日)





この1年何をしたか,そのとき土器でFB投稿したために,振り返って思い出すことが少ない。
自分の関心に絞れば,愛から図「多様な労働の理論的位置付け」という観点から,労働生産過程論を追い,労働組織論ないし労働の多様性論を追ったくらいか。

田舎を引き上げ,帰省先を失ったせいか,年の瀬という感覚もない。
年末年始だろうと,飛び石連休だろうと,自分の関心を追うことに変わりはない。
自分の関心にしたがっているだけでもよしとしようか。

課題,テーマを抱えつつ新年へ。
国道286号線(宮城県柴田郡今宿辺り。12月26日)


キャンパス近くの三叉路(12月28日,朝)

小白川キャンパスの東側(12月28日昼休み)


あこや公園(12月28日昼休み)

キャンパスも御用納め(12月28日昼休み) 
年の瀬を迎える大学図書館(12月28日18時前)


年の瀬を迎える中庭12月28日18時前,生協食堂前)





2017年12月15日金曜日

そうなのかなぁ

 2017年12月15日(金)の朝日新聞朝刊。「(私の視点)無償化と学の独立 問われる大学研究者の質」でフェリス女学院大学教授の高田明典教授は,政府による大学教育への財政支援は,アメとムチ両面があるとして,
「「「ムチ」とは2015年6月の文部科学省通知「国立大学法人等の組織及び業務全般の見直しについて」にみられる方向性を指す。主として人文社会科学系学部の廃止や他領域への転換を求める内容とされ、無償化ともなれば、その方向性は私学を含めた全大学に及ぶだろう。「文系の学問も役に立つ」という反論は、本質をとらえていない。この問題の本質は教員の質であるからだ。」と述べられている。
 その後,文系研究の業績評価に難しい面があるものの,論文の本数からある程度は可能と述べられている。「緩くみても、論文数が年齢から35を減らした数より少なければ、「まともな研究者ではない」「研究はしていない」と考えた方がいい」。
 そして,最後に「学内での「業績審査の厳格化」がなかなか受け入れられがたいのは、それが「不出来な同僚を指弾する」ことになるからであろうが、大学の矜持(きょうじ)が問われる」と結論づけられている。

 そうなのかなぁ。
 業績評価については,高田教授も最初に「もちろん論文の質や、扱う問題の大小や難度こそが重要だが」と留保されているように,単純に本数では計れない問題がある。もちろん,10年15年をとれば,超大作を構想中,途中報告もできないでは済まされないが。。。

 そもそも,政府が推し進めている大学の選抜,選別は教員の研究者としての質を基準にしているのか,根本的に疑問である。

 同日の同紙記事「(検証・2兆円パッケージ)大学に「体質改善」迫る 高等教育無償化8000億円、学生は支援」では,「学生への支援と引き換えに、大学は外部人材の受け入れなどの改革を迫られることになる。背景には「大学は社会のニーズに応えていない」という政府側の不満がある」。
 この場合の「外部人材」とは研究者とは限らない。あるいは研究の質を基準にしていない。いわゆる「地域貢献」「地域振興」の実務型人材であろう。
 もちろん,地域の経済や政治,あるいは社会について真摯な研究を積まれている研究者もいらっしゃる。
 しかし,政府が大学,特に地方大学に求めている「地域貢献」は研究者に限定されていないのではないか。
 地域に関する研究者だけでは全学生を対象にした必修型カリキュラムを組めないからだ。
 勢い専門外の教員を投入したり,研究業績の乏しい外部人材が登用される。

 今の,「ユニバーサル」化した大学が学問ベースの教育だけで良いか,という問題はある。
 また地域に出るフィールドワークが学生の学習動機を刺激する面もある。

 しかし,それを超えて地域学習を量的に拡大する方向で財政誘導されかねないのが,現在,政府が進めようとしている高等教育への財政支援の「ムリ」ではないだろうか。

2017年12月14日木曜日

 先週末,山形市で東北職懇(職種別懇談会)。
 中心テーマは「非正規教職員の無期転換」。

2017年12月3日日曜日

第33回三大学合同ゼミ

12月22日 第33回三大学合同ゼミ。年2回の開催だが,少人数ゼミのため山形大学での開催は2年半ぶり。
三大学4つのゼミの普段のテーマは様々であるため,うちのゼミ生が合同ゼミ用に設定したテーマは「その結婚,幸せですか」。
 第1ターム「結婚,離婚に伴う効用,費用」
 第2ターム「どのように改善すれば良いか」
 教員による講評で述べたこと;1)目に見えない費用をどこまで摘出できるか期待したが,そこそこ挙げられていた。2)主催者側は,第2タームの方向性を,婚姻率を高める方向か,個人の選択の障壁を取り除く方向か,明確にした方が良かった。
 後で言い足りないと思ったのは,1)こんにち,家族の期待・維持ではなく,自分の意思で婚姻を決めているということは,どこまで厳密かは別にして,利害得失をベースに行動している,2)特に商品経済社会では,その利害特質を効用と費用として数値化されやすいため,行動がより算盤尽くになっている,あるいは効用費用に行動が引き摺られ易くなっている。3)他面で,自分の費用に上らない他人の費用には無頓着になりがちだ。

終了後,大学生協のテラスで懇親会。

 三大学合同ゼミを初回から引っ張ってくださった半田正樹先生(東北学院大学)は,来春退職されるため,参加されるのはこれが最後だった。
 先生の最後の合同ゼミを山形大学で開催できて幸いだ,と思っている。