2014年11月25日火曜日

まだはまだなり

目の前の締切りに終われ,1つ1つこなす作業を繰り返していると,
やっつけ仕事に終わっているような感慨を覚えることがある。
もちろん,自覚してそうしているわけではないが,
「もっと時間を掛けて丁寧にしておけば良かった」という思いばかり残る。

株式相場の格言に「未だはもうなり」がある。
まだまだ上がるはずと売り惜しんでいると,実はピークで,後は下がるだけ,という意味だ。
あまり欲をかくな,ということでもあろう。

しかし,こちらは「まだまだ」と控え目に言ったつもりでも(実際はかなりの程度と思っていても)、謙遜でも何でもなく、実際まだまだで冷や汗を掻かされるときもある。

結局、どう冷静に判断しようと、しょせん主観は主観で、
不十分に思っても、
どこかで区切りをつけないと、
次が望めない、ということであろう。

前から

この2か月くらいの間,大小の締切りに終われ,更新間隔がさらに延びた。
以下は1週間前,朝刊を読んで,書き始めたものの,そのままになっていた。
要は,アベノミクスは実質「第1の矢」量的金融緩和だけだから,
円安の弊害=輸入物価高となれば,手の打ちようがない,ということ。
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安倍首相による,消費税増税時期の延期に関しては,4月の増税による景気交替が喧伝されている。

確かにGDP年率1.6%マイナスは大きい。

しかし,日経新聞に載った実質賃金の伸びの推移を見ると,
実質賃金の伸びが名目賃金の伸びに追いつかず,前者がマイナスとなったのは増税直前の今年1-3が月からだ。

むしろ円安による原料高の影響が大きいのではないか。



2014年11月13日木曜日

耐用年数

先週,自宅の洗濯機が動かなくなったので更新した。
動かなくなったのは脱水機能だけだが,洗濯を任せている母には手絞りはキツイし,何より年代物なので「お役目ご苦労様」という気分が先に来た。

販売店では数年以内の製品であれば,買い替え奨励金を出すとのことであったが,
数年どころか,10年は優に超していたので,リサイクル料を払って引き取って貰った。
引き取り前に型番等を控えていなかったので,いまさら調べようがないが,10数年,ひょっとすると20年超ものだ。

昔々,院生時代,「景気の周期性には,やはり機械の耐用年数が絡んでいるのではないか」という議論を聞いたことがあるが,
今のような節水等の機能や洗い方の工夫もない,単に洗濯から脱水までの全自動洗濯機でも20年近くも利用されると,景気の回復にも影響を与えるのかも知れない。

ところで,読売報道がフライングしたとも,官邸側のリークとも言われる解散風は,解散の代議がないと指摘されながらも,総理外遊中に止めようがなくなったが,内閣の耐用年数は2年なのか。

第1次安倍政権が参院選で負け,ネジレ国会が誕生して以降,
また民主党政権も誕生した翌年の参院選で負け,やはりネジレ国会が再現して以降,
予算以外の法案を賭すのに野党の協力が不可欠とあって,
首相の座のたらい回しが常態化していた。

第2次安倍内閣の場合には,2012年暮れの総選挙でも,翌年の参院選挙でも大勝しているので,政権たらい回しの必要はない。

しかし,新聞報道では,なまじ大勝したために,次の総選挙では議席を減らすのが確実であるため,官邸は減少分を最小化する時期を慎重に探ってきて,この時期を選んだのだとか。

消費税増税の先送りが焦点になるのか,
アベノミクスの総括になるのか,大義はみえなくても,風は止まりそうにない。

2014年11月5日水曜日

外れた予想のうらには

10日くらい前に,「円安=原料高と株安の恐れ」などと記した記憶があるが(最近は更新がのびのびなので覚えていない),
この間,10月31日(土)黒田日銀総裁の追加的金融緩和発表と軌を一にして株価が急上昇した。

しかし,量的金融緩和だけでは,景気回復し金融緩和を終了して次は利上げへと向かうアメリカとの金利差拡大予想から,
円安の進展が予想されるだけであり,株高までは結びつかない。(現にアメリカはドル高株高だ)

円安で輸出企業が利益を増やし,海外に移転した工場が戻ると予想されもしたが,
既に円安の負の側面が方々から指摘されている。
中小企業の集まり日商の三村明夫会頭ばかりでなく,
大企業の集まり日本経団連の榊原定征会長も既に行き過ぎた円安との懸念を示している。

最近の株価上昇は,黒田総裁の追加的金融緩和発表だけでなく,その前日,10月30日(金)にGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が運用基準を改めて株式の比率を倍増させという事情が絡んでいることには留意が必要だ。

約130兆円の公的年金を運用するGPIFの運用資金は莫大なのでその株価引き上げ効果も大きい。
しかし,このような力尽くの株価引き上げ策は長く続くとは限らない。

GPIFの株式運用比率増大には,株価が下落すれば,国民の将来の年金原資を大きく損なうため批判も多い(「公的年金運用、リスク資産増に批判 厚労省作業班が初会合」日経14/11/4)。

また,政治の介入は政権の都合でスタンスが変わるため,健全な投資家が日本市場から逃避する可能性もある(「日銀緩和、強まる官製相場 15年末に国債の3割保有へ」日経14/11/4,「株式運用、物価上昇に備え 年金見直し、「政治介入」批判も」朝日11/1付け)。

首相の執務室には株価を示すボードが設定されており,株価がリアルタイムで把握できる,歴代政権初の試み,という。
内閣支持率に直結する日経平均株価や消費税増税の環境整備としての株価の引き上げ,という短絡思考でなければ幸いである。