連合山形のシンクタンク,山形経済社会研究所の年報に寄せた解説論文「ジョブ型雇用とは何か」の抜刷をお届けします。
以前は連合山形の調査に帯同してコミュニティ・ビジネスの解説等を寄稿していたのですが,最近は経済原論固有のテーマに関心が移っていたためすっかりご無沙汰していました。
本稿では,最近企業サイドから声高に叫ばれている「ジョブ型雇用」への転換論を濱口氏のジョブ型雇用・メンバーシップ型雇用論に依拠して検討したうえで,その内実が,現行の新卒一括採用や企業手動の職業教育を前提にした企業内人事管理制度の修正に止まり,市場横断的な職務区分を前提にしたジョブ型とは似ても似つかないことを明らかにしています。
しかし,他方で,ジョブ型雇用の提唱が賃金等処遇の職務との関連性を高めようという点では,非正規雇用への手当不支給の是正に止まっている現行方式の同一労働同一賃金の限界を超える面がある,と評価しています。
本来ならメンバーシップ型雇用と言っても,決して従業員管理型企業ではなく,濱口氏自身が指摘するとおり「中小零細企業を中心とした現実の労働社会においては..解雇が自由奔放に行われて」おり,資本の論理が貫徹する私企業であること,それがメンバーシップ型に映るのは株式の持ち合いによって経営者層まで生え抜きの深い内部昇進が転換されている大企業に焦点が絞られがちであることに言及すべきですが,解説論文であるため,込み入った話は省略しています。
後半の職務内容に即した処遇改善は元々は昨年の学部の公開講座「働き方はどうなる?」で話した内容であり,前半のジョブ型雇用提唱論の検討から性急に結び付けた面がありますが,ご笑覧くだされば幸いです。
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