地元紙に載せるジョブ型雇用の解説論文,10月25日の締め切り当日に投函した。
学会報告後,しばらく,手に付かなかった。
報告疲れもあったが,報告予定稿を投稿した8月25日以降,報告の1,2週間前までの1ヶ月半の間にほぼ7,8割方,原稿を埋めており,残り2,3割の短い叙述で説明が十分でない箇所を埋める補完的作業に気が乗らなかったのだ。
実際に着手してみると,準備不足で下調べが必要な箇所や構成の細部見直しもあり,最終局面では見直し,補正が終わらないうちに投了,となったが。。。
脱稿後,再び気が抜けている間に想像もしないニュースが飛び込んできた。
大学院時代にお世話になった野下保利さん(国士舘大学政経学部教授)逝去の知らせを学会MLで受け取った。
大学院時代,野下保利さんは金融論の深町郁彌先生の研究室に属する助手を務められつつ,逢坂充先生の経済原論演習にも参加されていた。
研究手法は異なっていたが,テーマも視角も狭くなりがちな自分に声を掛けてくださった。
野下さんとは研究室で,下宿で,また箱崎,なぜかたまに春吉のスナックでいろいろ議論した。
そのテーマは,時節柄?恐慌論,価値論中心だったように思うが,詳細は全く思い出せない。
頭脳明晰かつ勉強も広くされていた方で,全く歯が立たず,子ども扱いだったように思う。
また,国士舘大が各地に持つ父兄会?の東北行脚の際,山形にも立ち寄られたので,駅前の居酒屋にお連れしたところ,「地元の美味しい店全く知らないんだなぁ」と呆れられたことがある。
その後は,年1回の学会でたまにお見かけしては挨拶する程度だった。
金融不安定性について研究され,ミンスキーの訳本も出されていたが,こちらの関心と異なっていたためでもある。
数年前の学会懇親会の場で知人に紹介するのに「こいつは経済原論の枠組みに浸っている」という趣旨のお言葉を頂いたのが最後であった記憶がある。
今でいうぼっち族の自分にとって,野下さんは大学院時代最も親しく接しさせていただいた先輩,あこがれの大先輩であった。
パイプを咥えた野下さんのお顔は今でも忘れられない。
ひたすらご冥福をお祈りする。