2021年12月29日水曜日

二兎目をようやく捕獲

  2匹目の兎「マルクスのアソシエーション論とその制約」を12月20日の締切り当日ようやく投稿した。ただ,締切りが重なるなか,締切りが2週間近く早かった1匹目の兎に時間を取られ,文章完成に余り時間を取ることができなかった。
 構想自体は5月GWで固め,8月2つの研究会で報告していたので,それを文章化するだけでも論文の体はなしていたが,細部の詰めが足りないという自覚があった。

 そこで,編集者に頼み込み,英文アブストラクトの校閲を辞退して手直しの時間を頂き,クリスマス当日25日第2稿を投稿した。主に説明を補うために引用の増やしたもので論旨に変りはない。

 構想自体はこのブログでも8月半ばに紹介した。
 完成させた時点で改めて示すと以下のようになる。

 『資本論』商品章第4節は商品の物神的性格の原因を商品生産そのものに求めたうえで,その点を明らかにするために,商品生産と他の社会形態---ロビンソン・クルーソー,中世荘園制,家長制の下で自給する農民家族,自由人の結合(後に言うアソシエーション)---とを対置している。

 言い換えると,商品生産と他の社会形態の二元論になっている。しかもその二元論は物象的関係関係にある商品生産vs.人格的依存関係,商品生産の,商品交換によって初めてその社会的位置付けが明らかになる私的労働vs.他の社会の直接社会的な労働,私的所有vs.共同所有の3つが認められる。

 しかし,この3つの二元論は重なる面もあるが齟齬もあり,それぞれアソシエーション像を制約している。物象的依存関係・人格的依存関係からは共同体社会主義が,私的労働・直接社会的労働からは計画経済が,私的所有・共同所有からは生産手段共同所有による共産主義が。

 しかも3つの人間論それぞれに課題があった。共同体原理の狭隘さ,直接社会的労働の困難さ,近代的排他的所有概念に立脚する私的所有・共同所有区分の狭隘さ等々。

 このような二元論の背景には,労働相互の絡み合い,生産過程が視野に入らない商品章という場での生産関係想定が背景にあった。

 生産過程論を基盤とするとことによって,ある物の生産にさまざまな労働が絡み合っていることが明らかになり,働き方の異なる労働の違いに留意したアソシエーションの展望も可能になる。

 

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