2021年9月15日水曜日

三から二に

 三兎を追うのに一日を三分割して,午前,午後,夜と時間帯によって獲物を切り替えようとした。

 先頃亡くなった著名評論家は縦長の自家ビルを所有し,各階に設置された机によって執筆するテーマを切り替えていたという記事にヒントを得て(ずいぶん以前の記事なので記憶は曖昧)。

 しかし,そうは上手く行かない。
 一つのテーマについて書きかけの原稿を推敲していたら昼を迎え,日中掛けて手を加えることになったからだ。

 それ以上に,前回宣言した兎に角最後まで書いてみることさえ達成できないでいる。
 いつものことだが,事前にスライドで描いた構成通りには進まない。
 節によっては展開が飛んでいる,逆に全体の流れから見れば細部に拘りすぎている等々。

 そろそろ後期の授業準備もせざるを得なくなり,日ごとにテーマを切り替えている状態。

 三兎のうちの一つ,学部の公開講座担当「働き方はどうなる?」は昨14日無事終えた。
 限定正社員やジョブ型雇用が導入ないし喧伝されるケースをいくつか紹介し,それぞれの背景および課題を考察した。最後に同一労働同一賃金の進展への影響という展望を示した。 
 安倍政権の働き方改革の一環としての同一労働同一賃金(ガイドライン方式とも言える)は,手当の是正については非正規への無頼を不合理とする2018年6月の最高裁2判決で目処が立ったものの,基本給が関わる賞与(ボーナス),退職金については20年10月の最高裁2判決が不合理と認めず進んでいない状態だ。これに対し,職務限定という点では非正規雇用と同じで,無期雇用という点では正社員と同じ限定正社員の導入は一石を投じうる,と展望を述べた(昨年の最高裁2判決が賞与ないし退職金の非正規雇用への不払いを不合理と認めなかった根拠が職務内容の違いと勤続評価にあったので)。

 Zoom形式のため講義時間が90分から60分に短縮されたが,講義後,質問が次々出て任務を全うできたのではないか。


 いよいよ二兎を追う状態になった。



 



2021年9月8日水曜日

スタイルを変える

  慣例として会議を入れないことになっている8月が終わり,9月になると,あるいはその前くらいから大学の様々な業務が入ってきた。

 他方,3つの任務はほぼ締切りが決まっている。
 論文の一つは,12月下旬が締切りと決まっている。
 もう一つは随時受付けだが,構想を固めているので,早いに越したことはない。
 (来週担当の公開講座は既にスライドを完成させており,再確認・微調整が必要な程度)

 三兎追っているため,時間は案外短い。

 通常は章の下の節毎に順番に文章を埋めている。
 事前に構想ノート,スライドで何度も展開を練って章節構成を決めているが,実際に文章にしてみると,論理展開の無理が明らかになり,節構成を組み直すことが良くあるので,文章の展開通り,順番に埋めてみるスタイルをとってきた。

 しかし,今回は1つの論文の締切りが決まっている。
  次回投稿と見送ることは出来ない。
  既に先月2つの研究会で報告を終え,構成には無理がないように受け止めている。

 そのため,今回は,むしろ構成が崩れないよう,事後的に変更されないように全章節について文章を先に埋めていく方針だ。
 もちろん理展開や章節構成を示すスライドでもそれぞれ1,2文程度は内容を叙述しているが,今回は,文章表現,展開は後で補正することにして,まず結論まで書き進めることにした。

 実際に始めてみると,文章の無理が目について校正に手間取るあるいは拘泥してしまう。
 「真理は細部に宿る」。
 文章あるは字句レベルの推敲は重要だ。
 しかし,それをしてしまうと,全体の完成が遅れる,場合によっては,話がズレていって構成変更に結び付く。

 そう戒めながら筆を執り始めた。