学部,大学院時代の恩師,福留久大先生がご逝去なさったとの報に接し少なからず動揺している。
先生はキャンパスの異なる教養部に属されていたため,毎日のように接し,その延長で先生のプライベートな側面まで耳にする,というような良くある?師弟関係ではなかった。
最初は学外の,市民を相手にした「資本論を読む」学習会で教えていただき,大学院時代には演習に参加させていただいたものの,厳しく指導いただいたわけではなかった。(出来が悪いので,指導を諦められていたのかも知れないが)
むしろ身軸なのにいっぱしの研究者のように接していただいたり,助手終了後,非常勤講師の職を譲っていただいたりするなど物心両面でご支援いただいた。
つまり研究内容のご指導よりも研究生活を励ましていただいた,普通の師弟関係とは違うという思いが強いのだが,大学の教師になってみると,大学の勉強は,本人が関心を頂かなくては先に進まないのだから,学問指導よりも学生を励ますことの方が大事であり,なぜ福留久大先生からあその方法を学ばなかったのかなぁと後悔することがある。
学生指導について改めて先生からお話を聞きたかった。
それこそ関心を抱いた自分が考えろ,という先生の教えかも知れない。
今となってはひたすらご冥福をお祈りするほかない。