2022年6月11日土曜日

秋の学会報告

 更新が途絶えてブログというより個人的なメモになっている。

 秋の経済理論学会での報告申込みの期日がGW中にあり,分科会の自由報告にエントリーしたところ,先週22日に報告することが幹事会で承認されたとの連絡があった。

 申込時に記した報告たいとると概要は以下の通りである。

 報告タイトル「剰余価値論の余剰論への組み替えについて」

 報告概要「小幡道昭氏が「マルクス経済学を組み立てる」(2016)で提唱された剰余価値論の余剰の理論への組み替えの経済原論の枠組み(資本の価値規定,労働の同質性・量的規定,労働力商品規定)への影響を,3つの「余剰」(「貨幣の実在する市場」(商品の充満する市場),純生産物としての余剰,労働市場における産業予備軍常在)の違いに着目しながら検討する。」

 まだ構成も定まらないうちに手を挙げたので,概要もその時の考えに過ぎない。
 主な関心は余剰理論で経済原論の枠組みを維持できるのか,言い換えると資本主義経済の存立構造を理論的に示せるのか,ということにある。
 純生産物の発生を,労働者向け生活物資(いわゆる生活資料)の投入と支出される労働量との間の「本源的弾力性」で説き,分配の偏りを「階級関係」で説くという余剰理論は小幡氏の『経済原論』(2009年)で既に示されていた。
 しかし,『原論』では剰余価値概念も同時に説かれており,剰余価値論の余剰理論への「組み替え」には至っていなかった。
 その『原論』(2009)の枠組みは,「組み立て」(2016)における剰余価値論の余剰理論への組み替えという問題提起を経てなお維持できるのか,あるいはどのように変わるのかに大きな関心がある。