8月31日,9月1日と〆切が続居たため,後者,学会報告本文の仕上げは突貫工事になってしまった。前者〆切まで1週間,後者は棚上げ状態となり,前者が終わってから後者の仕上げには1日しか残っていなかったからだ。
もちろん大筋のドラフトはあったものの、取り上げる論者の主張をすために原典に当たって正確に引用する必要があり,一つ一つに時間を取ってしまった。
大筋は前回,S氏への返信で示したとおりだ。
二年前の学会報告でも小幡氏の剰余価値論の余剰論への組み替えを検討し,昨年の学会報告も余剰論における特別剰余価値概念の超過利潤概念への統合を検討していたたので,いわばその続きであった。
今まで小幡余剰論を検討してきたので,今回コーディネータの吉村氏に報告参加を誘われた際も喜楽に分会報告を引き受けてしまった,
分科会は2,3の報告を関心を集めやすいように同一テーマで括る、いわばパッケージで提供するものだが,報告相互は甘利関係ないことが多い。
しかし,今回の問題別分科会「資本主義社会の基礎理論」では3名の報告者が相互にコメントし合うというスタイルをとる。
今回は小幡道昭氏(東大名誉教授)が自ら最新の小幡道昭理論を報告され,置塩理論を代表して関根順一氏(九州産業大学)がこれまでの価値論争のまとめを報告される。
関根氏も参加されるので,単に小幡理論の検討では済まない。
そこで,考えたのが前回紹介したように,小幡理論と数理系マルクス経済学は共通面もあるし,異なる面もあるということだ。
この点を説明すると話が長くなるので,学会当日のスライドで用いる予定の見取り図で示すと以下のようになる。
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小幡理論 |
数理系 |
生産論(搾取) |
価格 |
①③物量体系(社会的再生産視角)
「マルクスの基本定理」(剰余労働の必要性) |
価値 |
社会的再生産視角に止まる→剰余労働の指摘に止める=不変/可変資本,剰余価値概念放棄,表式論も〔②投下労働価値説棄却〕(宇仁他[10]小幡[16]さくら[19])
資本循環視角→不変/可変資本概念による剰余価値論〔②投下労働価値説維持〕(置塩[88]八木[06]小幡原論)
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流通論(資本) |
④価値内在説 同じ商品「同じ価値」→売り急がず価値安定 A.貨幣「何でも買える」機能は同種大量商品を前提とするから
←一物一価を超えた同一価値額の根拠不明
B. ③客観価値説(生産論)に裏打ちされているから。
←生産論から価値論を排除した意味不明
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価値=労働(社会的再生産視角)に止まる →「増加」ではなく「自己増殖」する
資本概念に到達しない |
価値「増加」ではなく「自己増殖」とは,労働力商品に投下された資本,可変資本の「可変」たる所以は単に資本価値が増加したではなく,新たに生み出されたという意味だ(労働力商品は売り出す本人の下でのみ価値を有し,売られた段階で一旦価値を失うため,労働力商品の価値部分も含め新たに生み出す必要がある)。
問題は,ドラフト状態から丸1日で仕上げたため,価値論の積極的意義の提示が手薄,有り体に言えば「尻すぼみ:」になってしまったことである。
この点は8月24日開催の仙台経済学研究会でも指摘されたことでもあり,報告までの10日間でさらに詰める必要がある。